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導入に際しての留意事項を簡単にまとめてみました。
◇パソコンは消耗品と割り切るべき パソコンは脆弱なものです。HDDのクラッシュ、電源部の不調、メモリトラブルなどの故障や原因不明のエラーなどがある日突然やってくることは覚悟せねばなりません。パソコンの平均的な寿命は3〜4年。強固なサーバーでも5〜7年ぐらいを一つの目安にすべきでしょう。 電子カルテのソフトウエア部分はベンダーに委ねるとして、できればハードウエア部分はメーカーからのオンサイト出張修理サービスが受けられる故障時のサポートや補償のしっかりしたものを選択したいところです。ただし、部品交換補償やサポートを重視しすぎるとイニシャルコストが高くつくため、壊れたら新しいパソコンに買い換えると割り切ってしまうのも一つの考えです。 当院の場合、故障が許されないサーバーマシンには充分なコストをかけ、メインとバックアップのサーバー2台稼働とし、HDDはRAID1・ホットプラグ対応、電源部も2重構造とした極めて冗長性の高い構成としました。(→DELL PowerEdge1600SC) サーバーのメンテナンスに関しては、できればハードウエアメーカーの即日オンサイト出張修理サービスが受けられるものを選択した方が安心です。 一方、クライアントマシンは予備機での代替が可能で、万が一故障しても全体のデータには影響しませんので、あまりコストをかけずに消耗品と割り切って「故障時には新品に入れ替える」ことを考慮した構成としました。(→DELL OptiPlex GX270) サポートも最低限のものだけにしてコスト削減しています。 モニタの品質は単に見やすさだけでなく業務上の目の疲れなどにも影響してきます。自分が眼科医ということもあり、少しでも目に優しく、デザイン的にも自分の気に入ったものを選びたいという思いから、ちょっと贅沢してNANAO製20.1inch UXGAサイズの大型液晶モニタにしました。(→FlexScanL885) 付属のモニタスタンドでは視線が高くなってしまうので別売りのモニターアームをつけて、極力低位置に設置しました。モニタの寿命は比較的長いので端末が入れ替わっても使えますからコストをかける価値はあると思っています。 ◇スタッフのコンセンサスをいかに得るか スタッフが非協力的であると導入はなかなか大変です。あくまでも「業務の効率化、見直しのためのツール」として電子カルテを導入するという意気込みで取り組まなければ成功しません。各種帳票類の見直し、業務フローの改善などを考える良いきっかけでもありますので、一方的に押しつけずにスタッフが一丸となって業務改善に取り組む雰囲気づくりが大切です。 ◇充分な準備期間が必要 どんなに優れた製品でも、買ってきたらすぐに使えるといった甘いものではありません。使用薬剤のリストアップ、頻用処方のセット化、頻用病名のセット登録など、自分の診療内容を見直しながら、充分な時間をとって導入準備をすすめることが必要です。 ◇インターネットとは物理的に隔離するべし 電子カルテの端末で、外部へ接続してメールやインターネットサーフィンをされる方もおられますが、ウイルスや外部からのアタックで大切な電子カルテに影響がでるかもしれないことを考えると、物理的にインターネットと隔離しておく方が良いでしょう。 ◇システムダウンに備えよう どんなに優れた設計で作られたプログラムでも、予期せぬトラブルや動作不良でシステムダウンがあり得ることは覚悟せねばなりません。随時バックアップをとることはいうまでもなく、サーバーの二重化、予備端末の設置、HUBなどの故障に備えた予備部品のストックなども用意しておくべきでしょう。 万が一のシステムダウンですぐに復旧できなかったことを想定し、手計算や手書きでも、会計や処方箋発行をおこなえるように訓練しておくのもよいかもしれません。 ◇ちょっとお金がかかります。 電子カルテ導入には結構コストがかかります。上手に使えば人件費コストが削減できて、経営的に有利なツールにもなり得ますが、便利になる反面、初期投資にはそれなりのコストは覚悟しておいた方がいいでしょう。 ◇ペーパーレスにこだわりすぎない 他章でも述べましたが、ペーパーレスにこだわりすぎると本来の「業務改善」という目的から大きく逸脱しまう可能性があります。何のために電子カルテを導入するのか良く考えて、「電子カルテの導入が目的」ではなく、「電子カルテ導入による業務の効率化や見直しが目的」であることを常に肝に銘じておくことです。 紙媒体ならではのメリットもありますから、メモや各種書類の保存用ファイルぐらいは用意しておき、無理のない運営をおこなうべきと私は考えています。
多くの施設で稼働実績のある製品を選ぶのが無難ではありますが、必ずしも売れ筋商品や大手メーカー製品が良いとは限りません。導入施設数が多すぎると思い切ったバージョンアップが難しく、ユーザーの要望やカスタマイズに応じてもらえなくなりがちです。反面、ユーザー数が少ないと開発元が充分なコストをかけることができず、発展が頭打ちになったり、なかには製品そのものが消えてなくなってしまうことすら懸念されます。できればユーザー同士の交流がさかんで、バージョンアップや機能改善の要望について討論できるメーリングリストなどに開発側の人間も参加しているような製品であれば理想的です。まだまだ発展途上にある電子カルテですから、開発者の顔が見えず、意見交換することもできないような製品であってはいけません。 施設見学により、思わぬアイデアや情報を得られることは少なくありませんし、ユーザー同士の交流を深めていくことは製品の発展にも大きく貢献するはずです。
当院でもレセコンから、すべての患者の頭書き情報をお渡ししておき、あらかじめ入れてもらいました。これを先にやっておかないと受付業務は大変です。病名に関しては将来の「電子レセプト提出」をふまて、ICD10準拠レセプト標準病名にするため、もとのレセコンの情報が使えず、しばらくは当日受診した全患者の病名登録が必要でしたが、頻用病名セットを上手に組んでおけば、AI・CLINICの病名登録は非常に使いやすく、ほとんど苦になりませんでした。さすがに再診患者の病名登録はスタッフにまかせましたが、病名入力自体が従来のレセコンに比べて非常に簡単で、コストの入力作業をしないですむ分、診療時間内に並行してやってもらっても業務には特に支障ありませんでした。
当院では既存のシステムとの並行稼働時には、モニタとキーボードを切替装置で共用する方法で設置しました。それにより、並行稼働時の入力作業はスムーズになりました、旧システムの端末の一部はそのまま残してあり、完全移行後にも返戻レセプトなどの古いデータを参照する際に便利で重宝しています。
◇薬剤(単品)の登録 ・事前に使用薬剤のリストをチェックしておく。 ・AI・CLINICに内蔵されている標準マスタには全ての薬剤が登録されているが、その中で自分が日常よく使うものを標準的な薬剤の処方量(日数・量)、服用方法で「処方」のスタンプボックスに登録していく。スタンプボックスへの登録には、テスト患者のID番号(999990001)を使って処方やコストなどを入力していき、それをスタンプボックスにDrag&Dropして登録していく。 ・登録した薬剤は、効能別や名前別あるいは頻用薬品などで、フォルダ別にまとめたり、階層化したりして自分で使いやすいようにすると良いでしょう。 ◇用法の登録 ・一般的な用法はあらかじめセットされているが、用法セットはマスタ設定画面から、自分が使いやすいように並べ替えておくと良い。 ・第二用法入力は、主に眼科用に「右眼」「左眼」「両眼」といった入力がしやすいように作られた機能だが、それ以外に追加コメントでよく使うものを登録しておくとよい。 ◇検査、処置・手術等のコストチェックの登録 検査、処置・手術、指導料、自費(診断書・証明書等)の算定は、スタンプボックスに登録してDrag&Dropしていく方法を、あらかじめマスタ設定でセット登録画面に登録しておき、そこから選択していく方法がある。 ・自分の施設で使う可能性のあるものをマスタ設定で選択リストに登録しておく。 ・「検査」「処置・手術」「その他」のスタンプボックスに、自分の施設で使うものを登録しておく。 ◇シェーマの登録 自分の使いたいシェーマがあれば、導入設置前に用意して登録してもらっておく。bmpファイルで用意すればあとから自分で追加登録することも可能です。今まで使っていたカルテ所見用紙をシェーマにしておくと重宝します。 ◇頻用セットを組む テスト患者を使って、日頃よく使う診療パターンを入力していき、それをセットとして登録しておく。このセットは「所見の下絵となるシェーマ」「定型的なテキスト」「検査・処置等のコストチェック」「処方内容」「会計明細のメモ欄への記載事項」などをまとめてセット化できるので、非常に便利です。セットはコピーして、さらに改変して別セットを作ったり、階層化してセットを組んだりもできます。 私は単品を「処方」タグに、診療セットを「その他」のタグに登録しましたが、セット内容はどのタグでも柔軟に登録できるので、自分で使いやすいように整理されると良いでしょう。 ◇頻用病名のセット登録 マスタ設定画面から、頻用病名を登録しておく。自分で使いやすいように階層化しておくとよい。 ・階層化して整理してある病名リストは、設定によりクリックしたものだけ選択される”単選択”の方法だけでなく、上位層や下位層の病名を一度に登録できる”上位選択””下位選択””上下位選択”が使えるので、まとめて同じパターンの複数の病名をつけることが多い場合は有効な機能です。。 ・病名セット選択では接尾語は自動的に判別されるので、眼科では右、左、両を頻用病名と階層化しておけば、白内障(両)、近視性乱視(左)、黄斑変性(左)の疑いといった複数病名の登録でも、病名を選択して次々右クリックするだけで素早く病名登録できるので非常に便利です。 ![]() ◇カルテセットの登録 カルテセットは所見文字入力用の機能ですが、単語や定型文を階層化して整理して登録できます。上手に使えばキーボードを使う必要がほとんどなく、マウスだけでほとんどの文章入力ができます。 ここまでやっておけば、あとはスタンプボックスからペタペタ貼り付けるられるので、素早い診療が可能です。セット登録にあたっては今までのカルテを引っ張り出して、最低1週間分ぐらいは入力シュミレーションをやっておかれることをお薦めします。それによってセットの内容は素晴らしく使いやすいものになるはずです。 セット登録は導入時に他の先生が使っているものを移植していただくことも可能です。手間を考えるとそういったものを自分用に改変するのも良いでしょう。眼科用には私の使っているセットでよければ提供することが可能です。詳しくはアイネットシステムズさんに直接御相談ください。 セット登録は自分の今までの診療の見直しにもなります。できるだけ、ゆっくり時間をかけて吟味されると良いでしょう。ちなみに私は約2週間かけてセットを組みました。もっともAI・CLINICでは診療しながら、「これをセットにしよう」と思えば、セットにしたい内容を選択してスタンプボックスにDrag&Dropするだけで登録できますから、日々改変・追加登録しつつ、より便利になっています。
AI・CLINICの場合、カルテセットを使えば、キーボードを使うことも少ないのですが、キーボードで文字を入力していく場合、かな漢字変換が効率的にできないと、入力にとんでもなく時間がかかってしまいます。
電子カルテをより便利に使いこなすには、周辺システムを活用することも一つのテクニックです。AI・CLINICでは他アプリケーションからのCopy&Pasteがしやすく、患者頭書き情報の出力、電子カルテ画面とファイリングソフト画面の患者ID自動連動(AI・CLINICで患者を開くと、連携したシステムでもその患者の画面が自動的に開かれる機能)など、他システムとの連携がスムーズにおこなえます。
特筆できるのは液晶ペンタブレットを利用すると、取り込んだ画像を患者に呈示しながら、その上に文字や絵を直接描き込んで説明したものをそのまま保存できるという点です。
もちろん、元画像はそのまま残していますので、画像の上に書き込んだ文字や絵をワンタッチで表示・非表示にできます。これをAI・CLINICに貼りつけたりして、そのまま診療録として残すことで、ビジュアルに患者への説明をしながらカルテ記載ができることになり、非常に便利で有用な機能です。 現在、Claioの標準機能に加えて、眼科向けの自覚視力検査等の各種検査テンプレート、眼圧、屈折データのグラフ表示、ノンコン眼圧計、オートレフ、ケラトメーター、レンズメーターからの数値データ自動取り込み、IOLマスター、Aモードエコーの取り込みなどに対応した「Claio眼科バージョン」とAI・CLINICの連携作業を進めていただいています。(2005年夏デビュー予定)
AI・CLINIC上にあるランチャーボタン(画面上方ボタン列の右から2つ目)からMultiStationを直接立ち上げることもできますが、MultiStationを立ち上げなくても、患者画面を開くと下記画面のように自動的に当日の検査データ(レフケラ、ノンコン、自覚視力etc)がサブウインドウに表示されます。
※マルチウインドウ対応なので、右下の検査データのサブウインドウ自体をは隣の液晶ディスプレイに表示することも可。もちろん、データの電子カルテ所見欄への直接貼付も可能。
その他にもAI・CLINICと連携できるソフトウエアや製品は数多くあります。
AI・CLINIC自体にも簡易画像ファイリング機能があります。MOなどのメディアに登録したエコーや内視鏡の写真、デジカメで撮影した画像、ScanSnapなどで取り込んだ他院からの紹介状などの保存に適しています。スタンプボックス右上の「画像」のタグを開くと、登録した画像ファイル一覧が参照できます。
保険証の有効期限、有効病名の有無、開始日の整合性チェックなど、基本的なエラーチェックは自動的におこなわれますが、検査や処置内容と適応病名、薬剤と適応病名のレセプトチェックのマスタは、自分の診療内容や地域性にあわせて一つずつ登録していきます。これをきっちりやっておけば、月末にプリントアウトして一つ一つチェックするといった作業は事実上まったく不要になり、月初めのレセプト残業をなくすことができます。この作業はレセプト提出までの間にすれば良いので、時間的な余裕がなければ、本運用開始後からはじめても良いでしょう。 薬剤の併用禁忌などの相互作用チェックに関しては、じほう社の相互作用チェック(併用禁忌)DBを利用することもできます。
端末の設置、セット登録などに並行してスタッフ教育が必要となりますが、AI・CLINICは操作方法が簡便なため、他製品に比べてそれほど労力を要しません。 |
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