< 目の構造 >  

目の構造についてのQ&A

Q.目にはどれだけの筋肉がついているのですか

目の働きをしている筋肉を外眼筋とよびます。この筋肉は角膜より少しはなれた強膜(しろ目)にしっかりとくっついています。外眼筋には六つの筋肉があり,それぞれの名前と働きは次のとおりです。

(1)上直筋 一 主に上転,わずかに内転して上内方へまわす。

(2)下直筋 一 主に下転,わずかに内転して下内方へまわす。

(3)外直筋 一 外転させる。

(4)内直筋 一 内転させる。

(5)上斜第 一 主に下転,わずかに外転して外下方へまわす。

(6)下斜筋 一 主に上転,わずかに外転して外上方へまわす。

  

↑目の筋肉の動き(右目を正面から見た図)

 

 

↑右の目を真上から見た図

 

Q.骨(眼窩)と目の間には何があるのですか,なぜくぼみになっているのですか

眼球は眼窩という骨のくぼみにかこまれています。この眼窩の幅は4cm,高さ3.5cm,深さが5cmです。眼球はこのくぼみのはぼ中央にあり,そのまわりを脂肪組織でかこまれて骨のくぼみの中に入りこんでいます。このため,眼窩は眼球に外傷を受けたとき,安全性をもたせています。また,強い直射日光をさえぎる役割もしています。もう少し詳しく説明しますと,眼窩内の眼球は,テノンのうという袋につつまれていて,その後方には視神経とそれをつつむ鞘があります。骨と眼球の問には脂肪組織があります。眼球は六つの筋肉で,眼球のうしろの筋漏斗というところに重なり,この中に脂肪,神経,血管,視神経をふくんでいます。

 

Q.顔と頭の境はどこですか

顔と頭の境界線は,学問的な定義では,顔の境界は鼻のつけ根のまゆ毛を通って耳の穴に達する曲線で,その上が頭,下が顔といわれています。

 

Q.暗闇で目をならすにはどうすればよいでしょうか

明るいところから急に暗いところに入ると1分間ほど何も見えなくなります。そうして,およそ4〜5分するとまわりが見えるようになります。これは,瞳が小さいまま暗いところに入ると光の量がたりなくなるためで,暗やみに慣れてくると,瞳が開いてきて少しずつまわりが見えるようになるためです。そうして,暗やみの中で目が完全に働き出すのには1時間くらいかかります。このように,明順応から暗順応に移る方が時間がかかります。暗やみで目をならすには,自然に目をならすよりも,両目をグッとつぶって,それから開いた方が早くなれるといわれています。

 

Q.高速道路の照明は入ったときはたくさんあってだんだんと少なくなり出口に近くなると多くなってくるのはなぜですかトンネルの入り口はなぜネズミ色になっているのですか

天気のよい日に高速道路でトンネルを通るとき,ドライバーは明るいところから急に暗いところへ入ったり,暗いところから急に明るいところへ出たりして高速で運転しなければなりません。もし,トンネルの入口や中に照明がなければ,ドライバーはトンネルの中の暗さに慣れるまで立ち往生し,やっと暗さになれてトンネルを出たとたん,今度は明るさに慣れるまで立ち往生です。これでは高速道路の価値はありませんし危険です。トンネルの照明の数が入口と出口や中間で違うのは,より早く晴さに慣れるためと,より早く明るさに慣れるため,つまり眼の暗順応と明順応をうまく行なうためです。トンネルの入口の色がネズミ色になっているのは,トンネルの入口と囲りの色をできるだけ同色にして,ドライバーが安心してトンネルに入り運転できるようになっています。たとえば,白い壁の真中に暗いトンネルがあると,目の錯覚で急に狭く感じます。そのため,入口で急にブレーキをふむということにもなり危険でもあるわけです。

 

Q.カボチャやミカンを食べるとなぜ白目が黄色くなるのですか

 

カボチャやミカンをたくさん食べると皮ふや目が黄色くなることがありますが,よはど多く食べないかぎりこのようなことは起こりません。カボチャやミカンが黄色いのは,カロチンという色素によるものです。カロチンは,花や実の赤や黄色のもとになっている色素で,ニンジンが赤いのもカロチンを含んでいるためです。カロチンは動物の体の中に入ると,ビタミンAに変わります。ですから,カロチンを含む野菜をとらないでインスタント食品ばかりをとっていると,ビタミンAが不足してとり目(夜盲症)になってしまいます。しかし,黄色くなるほど食べたからといって害にはなりません。

 

Q.男性は黒や紺のしぶい色を好み,女性は赤などのカラフルな色を好みますが,なぜですか

 

人間が色を感じるのは網膜という膜で,約100万の色を区別できるといわれています。しかし,私たちは色を見て単にその色を区別しているだけではありません。たとえば,赤い色を見ると,血,火事,太陽を連想し,危険,情熱,怒りなどを感じます。もっとも,この感覚も,時代,文化によって変化し(アメリカでは太陽を黄色と感じます),好みの色も人,年齢によって違ってきます。ある調査によると,日本人は成長するにつれて好みの色が異なってくるそうです。つまり,幼稚園児では,赤紫,紫,小学校3年生では,黄,だいだい,中学生では黄みどり,みどり,青年では,みどり青,青紫,そしてそれ以上では,紫を好む人が多くなるといいます(成長につれて標準12環色の色彩環を右まわりする傾向がある)。また,好みの色は男女によっても大きく違います。統計によると,若い女性の好む色は,紅,赤,コバルト,だいだい,ぐんじょうと続くそうです。これに対して男性では,黒や暗い色の服を好む人が多いのですが,かといって,男性が赤が嫌いというわけではないようです。戦国時代のよろいなどには赤い色が多く使われています。最近では,男性も女性と同じくらいに赤い服を着ています。

 

Q.色のついた夢をみることがありますか

 

夢で見る色はカラーテレビのようなきれいな色彩を見ることは少ないといわれています。火事の夢でも,火の燃えているところだけ赤色と見えても,ほかは大体全部灰色に見えています。赤,みどり,青色が主な色で,黄色,オレンジ,茶色は見えないものです。色のついた夢を見ることが多い人は,画家,色のデザイナー,そのほかいつも色彩を考えている人だそうで,色彩をあまり気にしない人は見ることが少ないそうです。自分が色のついた夢を見るかどうかを知るためには,目を閉じて山や川の風景を想像し,それに色がついているかみてみましょう。あまり色のついていない風景しか見えない人は,色のついた夢をみることは少ないはずです。

 

Q.ジェット機のパイロットが飛行中に目が見えなくなるというのは本当ですか

 

たしかにそういうことを起こすことがあります。その理由は,加速度の影響によって起こってくるのです。つまり,曲芸飛行や急に上昇したり,急に加速するときに起こってきます。急に加速がついたとき,パイロットの頭からお尻の方向に速度が動いたとき,特に4〜5Gの加速が3秒以上つづくと,目の中の網膜の酸素が少なくなり,はじめは目の前が灰色になり,続いてまっ黒になります。このとき,パイロットは実際は見えていませんが,聴覚,触覚は正常であり,考えることはできています。したがって飛行機が墜落するようなことはありません。もっと高い5〜6Gの力が3秒以上つづくと,意識がなくなってしまいます。しかし,このときも回復が早く,もとにもどります。その反対に,お尻から頭の方に加速がついたときは,意識はなくなりませんが,顔がほてって,目の前がまっ赤になることがあります。このときは,頭の中の血液量が急に増加したため,血圧の急上昇によって起こります。

 

Q.フクロウやミミズクはどうして昼間目が見えないのですか。トリはどうして夜目が見えないのですか

目が光や色を感じるのは網膜の働きで,そこには二種類の視細胞があります。一つはおもに色を感じる錐体で光が多いときに働き,もう一つはおもに明暗を感じる桿体です。ふつう鳥には錐体しかないので,夕方になるとあまり目が見えなくなりますが,フクロウやミミズクには桿体しかありません。このため夜でもよく見えますが,夜行性のため目が大きく,昼間はまぶしくてあまり動きません。また,フクロウを見ると目が横に二つならんでいます。このためフクロウは物を立体的に見ることができるのです。しかし,眼球を動かすことができないので,首を270度もまわして物を見ます。なお人間は180度しか首をまわせません。

 

Q.サギは暗くなってから巣に変えるそうですが、とり目というのになぜ夜でも目が見えるのですか

鳥は普通,伝書バトのように遠くから自分の巣にもどってきます。鳥がどうして自分の巣にもどってこられるのか,いろいろなことがいわれていますが,一番信じられているのは,目じるしになるものを覚えていて,それをたよりに戻ってくるという考えです。サギが餌を取る範囲は,大体4〜8km以内です。また,鳥は高いところを飛ぶので,広い範囲が見わたせ,それに,夕方になっても高いところはまだ明るいので,目じるしが見えやすいのです。すっかり暗くなってしまうまでには,鳥はたいてい巣にもどっています。しかし,渡り鳥の中には,夜の間に飛ぶものもいますが,それは普通の鳥よりも暗いところがよく見えるか,赤外線を感じるからとかいわれています。

 

Q.ヒラメの目はなぜならんでいるのですか

ヒラメの親の目は両方とも片側についていますが,卵からかえったばかりのヒラメの子は,他の魚と同じように左右対称についています。ところが,生まれてしばらくすると,まず,体が背と腹の方にのびてきて平べったくなります。平べったくなると,一方を下にして横になって生活するようになります。次に,体が10cmくらいになると,下の方の目がだんだんと上の方に移ってゆき,それにともなって,頭の骨もねじれていきます。20cmくらいになると目はすっかり上の方に移ってしまいます。こうして,砂の色に似た色を上にし,砂の中に体を隠し,餌となる小さな動物をだまして食べるのです。このとき,上に移った二つの目は,広い場所を見ることができるので役に立ちます。ヒラメとよく間違う魚にカレイがいます。普通「左ヒラメに右カレイ」と区別していますが,カレイにも左に目があるものもあって実際にははっきりと区別できません。

 

Q.七面鳥はなぜ色が変わるのでしょう

七面鳥は頭と首には羽がなく,頭には肉いぼがあって,皮ふがくちばしの根元からたれさがり,これらの部分の色が変わるので七面鳥とよばれるようになりました。興奮すると血が頭にまわるため,首などが赤くなりますが,気がしずまると血液もさがるので,うす赤色から青白色に変わっていきます。目の色には変わりはありません。産卵期にオスがメスをひきつけるためにつばさを広げ,尾羽を開いてりきんで歩くときに色が変わるのです。

 

Q.牛に赤いものを見せるとなぜあばれるのですか

よく,牛に赤いものを見せるとあばれるといいます。しかし,実際にはそうではなく,ほとんどの動物は色を区別することができません。それはまるで白黒テレビを見ているようだといわれます。だから,牛は赤い色を見て怒るのではなく,布が振られて動くため,これに強く危険を感じて興奮するためです。赤い色は,牛ではなく観客を興奮させるために役立っているようです。

 

          

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