遠視・乱視・老眼・不同視・弱視

  

遠視

遠視とは,眼の調節機能が働いていないとき,眼に入った平行線が網膜よりも後方に像を結ぶ屈折状態をいいます。
遠視では,近い所を見るときも遠い所を見るときもピント調節が必要で,常に毛様体筋を緊張させる必要があるため,視力障害(特に近見)や眼精疲労を起こしやすく,内斜視の原因となることもあります。
小児では遠視が強いと弱視の原因にもなることもあり、落ち着きや根気がなかったり,あきっぼかったり本が嫌いだという症状も現われやすくなります。 こういった場合は裸眼視力がよくても眼鏡をかける必要があります。
一般に遠視は裸眼視力がよいことが多いため、学校検診での遠見視力(5m)の視力検査だけでは発見できないことが多くあります。

(*参考→
近視・遠視・乱視・老眼を理解するために

 

乱視

 

(右眼の例)弱主経線乱視軸による分類

乱視とは,角膜や水晶体の屈折異常のため,眼に入った光が焦点をむすばない状態をいい,屈折異常の約1/3(近視ではその25%)あるといわれています。その理由は,目の径線(地球儀の例で考えると便利)の,径線ごとに屈折カが違うためです。

一番強い屈折を示す径線(強主径線)と一番弱い屈折を示す径線(弱主径線)の二つの主経線の一方が正視のときは単乱視,両主径線ともに遠視や近視のときは複性乱視,主径線の一方が遠視でもう一方が近視のときは混合乱視といいます。そして,主経線の方向により,・倒乱視,・斜乱視,・直乱視に分類されます。

乱視表(石原式)  乱視眼が見た図

 

 

不正乱視

角膜の表面(まれに水晶体)が凹凸がでこぼこの不整形であって,ちょうど波うった鏡に映った像のような見え方をするものです。メガネでは矯正することができないので,時としてコンタクトレンズで矯正することがあります。

正乱視

不正乱視

 

老眼(老視)

加齢とともに水晶体の弾力性が弱まり,近い所を見るとき毛様体筋が緊張しても,十分な調節力がでなくなった状態をいいます。
老眼(老視)が進行してくると、だんだんと手元が見えにくくなり,近くを見ると目が疲れたり,本を読むとき目から離したり,うす暗い所や夜は見えにくくなったり,細かい文字がはっきりしないなどの症状を起こしてきます。
老視は中年以後になると誰にでも起こってくる生理的現象で,病気ではありません。

近視の人はもともとのピントが手元にあるために裸眼では老眼(老視)を自覚しにくく、遠視の人は比較的若い年齢から、老眼(老視)の症状を訴えることが多くなります。

 

不同視

左目と右目の屈折度が異なるものです。

 ・異種不同視(一眼近視,他眼遠視)
 ・同種不同視(同じ種類の屈折異常であるが,左右の眼の屈折度に差がある)

 の二種類に分かれます。

幼小児期に不同視がある場合、見にくい方の目の視機能発達が遅れて、弱視の原因となることがあり、眼鏡装用やアイパッチなどの治療が必要になる場合があります。

 

 

弱視

弱視という言葉は「教育・社会弱視 partially sighted」で用いられる場合と「医学弱視 amblyopia」で用いられる場合とがあります。

教育・社会弱視

partially sighted

医学弱視

amblyopia

定義

症状

病名

両眼

片眼ときに両眼

器質的な異常

あり

なし

訓練効果

なし

あることが多い

     

 


   

 

(1) 教育・社会弱視 partially sighted
 
  両眼ともに視力障害があって治療による回復が見込めず、眼鏡等で矯正しても学校生活や社会生活に支障があるものをいいます。最大矯正視力が0.3未満もしくは視野狭窄が著しい場合は、弱視学級や盲学校での教育を受けることになります。

(2) 医学弱視 amblyopia  
 
 眼底および視路(視神経〜大脳)の器質的異常を伴わない視力障害で、眼鏡等での矯正が不可能なもの。 (最大矯正視力が1.0未満のもの。たとえ裸眼視力が0.01以下であっても眼鏡等での矯正視力が1.0以上見える目は弱視といいません。)  
  医学弱視amblyopiaの原因には以下のようなものがありますが、視機能の発達が完成する6歳頃までの幼児期に適切な対処や治療をおこなえば、弱視を克服できる可能性があります。

 1)斜視弱視

斜視があって片方の目があまり使われないことで視力発達していないもの。両眼で立体的にものを見る「両眼視機能」の発達も不十分であることが多い。斜視手術をしたり、プリズム眼鏡を使用したりすることで,弱視と両眼視機能の改善をはかります。

 2)屈折性弱視・不同視弱視

強い遠視、乱視、近視などの屈折異常が原因となり,網膜にはっきりした像が結ばないことで視力発達していないもの。左右で度数差があって片眼が弱視になっている場合は不同視弱視という。幼児期から,その子どもに合った眼鏡をかけさせることで,視機能の発達を促して弱視の改善をはかります。左右差が強い場合は、よく見える目をカバー(アイパッチ)したり、調節麻痺剤を点眼したりする治療を併用します。

 3)視性刺激遮断弱視

先天性眼瞼下垂、先天性白内障その他の疾患により,その目が使われずに,視力発達していないもの。幼児期に片眼眼帯を継続しすぎために,目にはどこにも異常がないのに眼帯をしていた目の視力がでない(遮蔽弱視)というような場合もあります。視性刺激遮断となる原因を取り除き、よく見える目をカバー(アイパッチ)したりする治療により、弱視の改善をはかります。

  

           

前のページへ          次のページへ