

白内障手術は水晶体の濁りを取り除き、人工の水晶体(眼内レンズ)を移植する手術を行います。網膜や視神経、角膜などの他の部分に問題がなければ、視力回復が期待できます。
手術手技が進歩し、超音波水晶体乳化吸引術と折りたたみ眼内レンズによる小切開手術により、手術後の回復が格段に早くなりました。手術時間は10~15分程度で入院なしの日帰り手術が可能です。
通常の場合は翌日、3日後、1週間後、2週間後、1ヶ月後、3ヶ月後に検診を受けていただきます。目の状態が安定するまでは点眼治療が必要です。両眼手術する場合は1週間ぐらいあけて片眼ずつおこないます。
![]() | 水晶体前嚢を切開する |
|---|---|
![]() | 水晶体の中身を吸い出す |
![]() | 眼内レンズの挿入 |
![]() | 眼内レンズの固定 |
![]() | ![]() |
|---|---|
| 進行した白内障(手術前) | 眼内レンズ挿入眼(手術後) |

当院の白内障手術の麻酔は点眼麻酔でおこないます。注射針を使わないため、麻酔時の痛みもほとんどなく、快適に手術を受けていただくことが可能です。特殊なケースを除き、手術前後・手術中も点滴や注射はおこなわず、点眼薬と飲み薬だけの投薬方法を選択していますので「注射が痛くて辛かった」というようなことは一切ありません。
当院では眼内レンズの度数決定にIOLマスター(ZEISS社)を導入しました。
眼内レンズの度数決定が不正確だと、手術後の見え方の満足度に大きく影響しますが、IOL Masterは通常用いられるAモード超音波眼軸長の単独測定に比べて、より誤差の少ない正確な眼軸長測定が可能で、精度の高い度数決定が可能になりました。
検査機器が高価なため、この機器を導入している施設は兵庫県内でも、ごく少数ですが当グループでは各クリニックすべてに導入しています。
角膜透明度を実現する超音波発振制御テクノロジーWHITESTAR ICE CASE(AMO社)を搭載した最新型です。従来機種に比べて超音波発振を超短時間にコントロールする事により、超音波によるチップ温度の上昇を抑え創口の熱傷リスクが軽減され、還流液の乱流を減少させることで角膜内皮細胞への負担が最小限になりました。Sovereign その名のごとく至上の白内障手術装置で、より安全で侵襲の少ない白内障手術が可能になりました。
通常の白内障手術のみでは乱視・近視などがある方への屈折異常の矯正には限界があり、裸眼視力の十分な改善が得られない場合は、眼鏡装用が不可欠でしたが、そういったケースでも白内障手術後に度数が安定してから、タッチアップをおこなうことで、度数の微調整が可能なため、さらなる裸眼視力の改善が期待できます。


眼内レンズ(人工水晶体)は若い人の水晶体のように厚くなったり薄くなったりしてピントを調節する力がありません。 老眼が進んだ目と同じで、見るものの距離にあわせて眼鏡を上手に使うと、さらに良好な視力を得ることができます。

通常はピントを「やや遠方~中間距離に合わせた」眼内レンズを挿入する場合が多いですが、左右のバランス、手術前の度数、御本人の御希望、職業上の理由などにより、「近くにピントを合わせた」眼内レンズを挿入する場合もあります。乱視のある方の場合には遠用と近用のそれぞれの眼鏡を持っていただいた方が良いでしょう。手術前の検査で眼内レンズの度数を決定しますので挿入する眼内レンズの度数をどのようにあわせるかについては手術前に医師とよく御相談ください。
当院で主に使用している単焦点眼内レンズは非球面眼内レンズ(AMO社Tecnis、ALCON社SA30AT、HOYA社FY-60AD)です。
従来からの球面眼内レンズでは、レンズの中心部と周辺部での結像の違いから生じる球面収差により、特に瞳孔経が大きくなる夜間や薄暗いところでは見え方の質の低下がみられましたが、収差を少なくする非球面構造により、コントラスト感度や像の鮮明度がアップします。


眼鏡なしで遠くも近くも見やすくなる「多焦点眼内レンズ」が開発されています。
レンズに遠方にピントがあうゾーンと、近方にピントがあうゾーンをつくることで、両方の領域をカバーします。


「眼鏡をほとんど使用しなくて済む」というメリットは大きく、その人のライフスタイルによっては一つの選択肢になります。

| 単焦点眼内レンズ | 多焦点眼内レンズ | |
|---|---|---|
| 長所 | 解像度、コントラスト感度に優れている。 | 眼鏡ナシで、遠くも近くもある程度よく見える。 |
| 欠点 | ピントの合う範囲が狭いため、見る対象の距離によって眼鏡の併用が必要。 | 単焦点眼内レンズに比べてコントラスト感度や解像度が劣り、ハローやグレアを感じやすい傾向がある。 |
| 費用 | 健康保険適応 ※安価 | 健康保険適応外 ※非常に高価 |

私が研修医の頃の白内障手術は、眼球の後ろに麻酔の注射をし、白目と黒目の境目を約9mm切り、濁った水晶体を摘出し、眼内レンズをいれたあと6糸程度縫合するものでした。手術時間は1時間近くかかり、経験を積んだ後でも30分程度かかっていました。術後の炎症は強く、切開創が長いために乱視がでて、視力が安定するまで1カ月程度要したものです。術後の眼鏡処方も3カ月先・・・と随分ご不便をかけるものだったと思います。
その頃から比べると技術は格段に進歩しました。麻酔は点眼のみで注射はありません。超音波で白内障を粉砕して同時に吸引します。眼内レンズは折りたたみ式にて挿入するので、切開は3mmのみです。縫合する必要はありません。手術時間も10分程度で終わります。執刀する私にも手術を受けられる患者さまにも、ストレスの少ない手術になりました。
私は数年前に実母の白内障手術を行いました。執刀前は少し緊張しましたが、いざ始まればいつものテンポで落ち着いて行えたと思います。母も「ちっとも痛くなかったよ。玲ちゃん、上手だね!」と言ってくれました。執刀することを通じて良かった思う点は、家族の立場を経験できたことです。ゆっくり安静してもらうために食事の準備をし、時間がくれば点眼をし、洗髪を手伝いました。母は60歳代でまだ若く全て自分で行えたはずですが、恐らくこの機会に・・・と思いっきり甘えてくれたのでしょう。
ほんの10分程度で終わる手術も、家族にとっては一大事。簡単に手術を勧めるのではなく、家族の背景も考えて手術のお話をしています。そして執刀するときは、母を執刀した時の気持ちを思い出します。私の家族だったら・・・という気持ちで手術に挑むようになれたのも、私にすべてを託してくれた母のおかげで、いい経験をさせてもらいました。
もし白内障手術でお悩みでしたら、どうぞ相談にお越しください。何らかのアドバイスはできるかと思います。
レイ眼科クリニック院長 松本 玲