はじめに

毎年4月から6月頃まで,学校で眼料検診が行なわれます。そこで,外眼部疾患や屈折異常の指摘をうけた児童・生徒が,一般の患者さんよりも数多く私の診療所にやって来ます。私が大学を退職し,開業してから10余年経ちますが,その問児童・生徒に病気の知識を与え,疾病の予防を兼ねた健康教育を試みようと,私なりに試行錯誤をくり返しながら,医学童話「ネコになったマー君」をはじめ,健康紙芝居,人形アニメなどを創作してきました。しかし,限られた児童・生徒しか対象にできないジレンマに悩みだした頃,小学校,中学校の担当校医活動を通して,来院した子どもたちの報告をするという,養護教諭との連絡が始まりました。それまでの私の眼科検診は,ただ検診をするだけに終わっていましたが、それ以後は,地域の養護教諭の先生方とのディスカッションをはじめ,児童・生徒の保健委員との自主的な活動「眼科健康教室なんでもQ and A」の会が発足しました。その会に何度か足を運ぶうちに,質問(Q)は児童・生徒の生活に密着した具体的なものから,家族の方の眼科疾患までと広がり,養護教諭の先生とも次第に摸するつながりを持つことにより,会に出向いていくのが私にとって何よつの楽しみとなっていったのです。と同時に,私にとって,養護教諭,児童・生徒の質問は具体的であり,医師としてこれまでいかに一方通行的な医療をしてきたのか,深く反省させられたものでした。回を重ねるごとに,児童・生徒の質問はユニークさを増し,とても考えつかない難問,珍問にタジタジとすることも何向かありました。

私のこの本は,会を重ねてきた子どもたち,養護教諭の方々の眼に関するさまざまな質問(Q)と,眼科医としての答(A)で成つ立っています。家庭で,そしてまた毎日仕事に励んでおられる養護の先生方の眼科実用書として役立てれば幸いです。そしてまた,子どもたちにも読みやすく,理解しやすいように,さし絵やカットをできるだけ多く採用しました。これを機会に養護の先生方と,私ども医療側が,子どもの健康により一層の関心を持ち,より深いつながりを持てればと願い,出版いたしました。

昭和60年3月 奥沢康正 

*「ぎもんしつもん目の辞典(東山書房)」の原本より抜粋     

 

ホームページ版作成にあたって

平成10年3月より「目の病気Q&Aインターネット公開医療相談室」を主宰してまいりましたが、その中で回答をおこなっていくうちに、一般の方向けの目の病気に関する情報提供をおこなう家庭医学書的なサイトの存在の必要性を強く感じていました。特に近年はインターネットの普及もめざましく、従来は大きな書店や図書館などで調べていたことをインターネット上でおこなうといったことが一般化しつつあり、眼科領域でのそういったサイトの構築が急務であると認識し、作成を志しました。

ホームページの内容について他の眼科専門医の先生方とともに検討したところ、奥澤康正先生の著書「ぎもんしつもん目の辞典−上巻・下巻−(東山書房)」がその雛型として最適と判断し、ホームページのコンテンツとすることをお願いにあがりました。幸い奥澤康正先生及び東山書房にも快く了承していただき、このページができあがりました。原本の作成が今から約15年前ということもあり、医療情勢の変化にあわせて一部加筆修正させていただいた部分もありますが、原則として原本の内容をそのまま掲載しています。

作成にあたり、数多くの方々の御支援を承ったことをこの場をかりて深くお礼申し上げます。

平成11年7月 新見浩司 

 


著者・原本作成:奥澤康正(奥澤眼科医院) ホームページ企画立案:新見浩司(新見眼科)、兎本明夫(兎本眼科) ホームページ作成:(有)ノイエジヒト Special thanks:浜田徹也(浜田商会)
          
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