病名 症状 原因 (その他) かゆみ アレルギー性結膜炎
痛痒感、球結膜浮腫、充血、濾胞形成
花粉、薬品、動物の毛など
春季カタル
痛痒感、まぶしさ、充血、乳頭増殖
不明(花粉等)
10〜20歳前後の男子に好発
毎年繰り返す
目がかゆいという症状は一般的な結膜炎でも起こってきますし,麦粒瞳の初期にも起こります。まぶたのふちがかゆい場合は眼瞼縁炎が考えられます。しかし,普通目がかゆいと感じた場合はアレルギー性結膜炎を疑います。
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目の症状としては |
花粉症 1.症状 春先や季節の変わり目になると図のような症状に悩まされます。 2.発症の仕組みと原因となるもの 眼に入った異物の中に含まれる,ある特定の物質に対して過敏に反応することを“アレルギー”といい,このときの原因となるものを“アレルゲン (抗原)”とよんでいます。アレルゲンは誰に対してもアレルギーを起こさせるわけではなく,遺伝的にアレルギーを持つ人がアレルゲンに接していると,その体内に“抗体”という特殊なたん白質が作られます。このアレルゲンと抗体が結合することを,“抗原抗体反応”といい,このとき,生体の細胞から放出されるヒスタミンという化学物質が眼に作用したものが,アレルギー性結膜炎です。また,鼻や気管支に作用すればそれぞれアレルギー性鼻炎や気管支ぜんそくが発症します。この抗原抗体反応が,人により体内で抗体を産生すると反応がにぶくなり,やがて免疫ができてしまいます。もし,体内に入ってきた異物に対して全く免疫がなければ,その異物はわがもの顔に体を犯してしまうでしょう。 アレルギー性結膜炎を分類すると次のようになります。 ○すぐに反応する型(沍^過敏症) ・花粉症一スギ,ヨモギ,カモガヤ,ブタクサ ・急性あるいは慢性アレルギー性結膜炎 ○ゆっくり反応する型(「型過敏症) ・春季カタル ・接触性眼瞼結膜炎 ○その他の型として ・フリクテン性結膜炎 ・ハウスダスト(家のホコリ) ・ダニ ・真菌 ・獣毛 ・化粧品・食品 等を抗原とする結膜炎 |
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結膜結石 |
異物感 |
結膜に石灰分が沈着 |
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ビマン性表層角膜炎 |
異物感、まぶしさ、流涙、視力障害 |
眼瞼内反症、ビタミンB2欠乏など |
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角膜真菌症 |
異物感、まぶしさ、疼痛、流涙、視力障害 |
真菌 |
抗生物質の目薬の長期使用により誘発 |
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角膜ヘルペス |
異物感、疼痛、まぶしさ、流涙、視力障害、毛様充血 |
単純ヘルペスウィルス、帯状ヘルペスウィルス |
眼瞼ヘルペスを伴う、再発しやすい |
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目に何かが入っているようなゴロゴロした感じを異物感といいます。文字通り異物(ゴミなど)が入っている場合が多いのですが,何も入っていないのに異物感があるのは角膜に傷がついていたり,角膜の病気であることがほとんどです。眼瞼内反症,睫毛乱生症などが原因になっていることも多く,結膜炎でも異物感のあることがあります。
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・めがつかれる ・目が痛い ・目がかすむ ・まぶしい ・充血する ・涙が出る ・目が重い ・目を開けていられない ・ぼやける ・二重に見える ・焦点が合わない ・頭が痛い ・頭が重い ・肩がこる ・気分が悪くなる |
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調節性眼精疲労 |
屈折異常 調節異常 |
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筋性眼性疲労 |
斜位、斜視 輻奏不全 |
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症候性眼精疲労 |
各眼疾患(緑内障初期、眼窩上神経痛) 全身病(循環器障害、婦人病) |
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不当像性眼精疲労 |
不同視など |
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神経性眼精疲労 |
神経衰弱、ヒステリー、全身衰弱 |
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眼精疲労の年齢別分布
目が疲れるといった症状は,ある年齢以上の人であればその程度の差こそあれ,経験したことのあるものだと思います。身体を使い過ぎると疲れるのと同じで,目も使い過ぎれば疲れるのは当然ともいえます。目を使う仕事をするときや物を見ようとするときに,目が疲れやすい,二重に見える,ぼやけてくる,かすんでくる,見ていられなくなるなどの視機能の低下を訴えたりすることがあります。このような目を使う際に起こってくる異和感や苦痛を総じて,眼精疲労といいます。人によって症状の出方はまちまちで,一般的には「疲れ目」とよばれています。
眼精疲労は病気ではなく,「目が疲れる」を代表とするいろいろな症状を総称する症候名です。ですから,十分な問診や検診をしてその原因を突き止めなければなりません。原因は大きく外環境要因と内環境要因に分けることができます。
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その人が生活している環境や仕事の質や量とが原因になることがあります。照明や光線の具合,化学的刺激,粉塵,騒音等の悪い環境に長時間いる場合や精密作業,コンピューター・ワープロ操作などの近くのものを見続ける仕事をしている場合がそれにあたります。特に照明は,目を使う仕事をする環境としては大切です。明るければよい,と考えられがちですが,必ずしもそうではありません。明るすぎると反射する光の量が多くなり,かえって目を疲れさせることになります。
眼精疲労では,やはり目そのものに異常のある場合が多くみられ,それが外環境要因や全身的な状態とからみ合って起こしている場合がほとんどです。そこで,眼精疲労を上の表のように,その原因から調節性,筋性,症候性,不等像性,神経性と分類することもあります。
原因の多くは遠視と乱視です。また眼鏡が合っていない場合もよくあります。近視では目が疲れることはまずありません。というのは,近視は近くの物を見るのにほとんど調節(ピントを合わせようとする働き)をしなくてもよいからです。だから,近視は近くを見るのに適した目といえます。逆に遠視は近くを見るのには適さない目といえます。近くの物を見るのに常に調節を働かせていないとよく見えないからです。そこで,遠視の人が長時間近くの物を見続けると眼精疲労を訴えるようになるのです。乱視があっても,同じく無理に調節して見ないとはっきり見えないので,やはり目が疲れてきます。屈折異常があれば,眼鏡かコンタクトレンズを装用することで目の疲れは軽くなります。もちろん,その眼鏡やコンタクトレンズでは,その人に合ったものでなければなりません。近視の人でも,合っていない眼鏡をかけていれば当然目が疲れます。しかし,近視や乱視の度が強い場合は,度に合った眼鏡を装用すると,見えているものが小さく見えたり,ゆがんで見えたりして,かえって眼精疲労を起こすことがあります。その場合は,適当に度を弱めることもあります。 |
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ピントを合わせようとする目の働きがうまくいかないために目が疲れてきます。その代表的なものは老視(屈折異常編P55)です。老視は病気ではなく,ある年齢になればだれでもなる状態です。また,年齢とともに進行しますから,それに応じた度の老眼鏡をかけていくことが必要です。老視以外にも,調節麻痺,調節衰弱,調節けいれんなど,調節をつかさどる毛様体筋がうまく働かなくなることがあります。これらは薬物中毒,全身衰弱,神経衰弱,ヒステリー,外傷などが原因で起こってきます。 |
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両眼の屈折の程度が異なるものを不同視といいます。たとえば,片眼だけが近視が強いとか,片眠が遠視で片眼が近視というような場合,片眼だけ白内障の手術をした後もこの状態になります。両眼屈折カの差が2D(ジオプトリー)以内であれば眼鏡で両眼の視力を同じように矯正できますが,2D以上であると,眼鏡で両眼の視力を同じように矯正すると左右で見える物の大きさが違ってくるため(不等像視)かえって目の疲れが出てきます。このような場合は,コンタクトレンズで矯正すると不等像視は現われません。 |
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斜視(屈折異常編P87)でも間歇性斜視(斜視のときと,斜視でないときがある)や斜位(眼位ずれはあるが,それを眼筋を働かせて自ら矯正している)の人は,眼精疲労が起こってきます。視線をまっすぐにして,斜視をなくし,ものをひとつにみようと常に目の筋肉を緊張させるために疲れるわけです。プリズム眼鏡をかけたり,斜視手術をするなどの方法で治します。 |
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近くのものを見ると目が内に寄ってきます。いわゆる「より目」の状態になります。この目を内によせることを輻輳といいます。この運動がうまくいかないと,やはり目が疲れます。いわゆる,むち打ち症や脳の病変などが原因となります。 |
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結膜炎や角膜炎があっても眼精疲労症状を訴えることがあります。また緑内障の初期にも目が疲れるといった症状が現われます。眼精疲労で眼科へ行くと,眼圧や視野の検査をする場合がありますが,緑内障が原因になっていることもあるからです。これらの場合,それぞれの病気に応じた治療をしていきます。 |
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眼精疲労は,その人の全身状態にかなりの原因があることが少なくありません。病気などで体力の弱っているとき,栄養状態の悪いとき,睡眠不足のときなども目が疲れます。全身病としては,循環器障害,消化器障害,腎機能障害,自律神経失調症,婦人病などが原因となったり,低血圧症,副鼻腔炎(蓄膿症)が原因となることもあります。その他に精神的な原因も見逃せません。悩みやストレスがあったり,あまりに神経質であったりすると,やはり目が疲れるといった症状が起こってくるようです。このように,眼精神疲労には多くの原因があります。もちろん,原因はこれらの中のひとつとは限らず,多くのものが重なり合い,結果として眼精疲労を引き起こしているのです。また,多分に神経的なものが作用しています。天気の悪い日や気分のすぐれない日は,特に具合が悪くなったりします。常に気持ちを楽に,イライラしたり,くよくよ考え込んだりせず,長時間近くのものを見続けるときは,定期的に目を休めたり,規則正しい生活をし,睡眠を十分とるなど,自ら治そうとする姿勢が大切だと考えます。 |