< 目の構造 >
硝子体は眼球の内部の大部分を満たしている無色透明の,卵白よりやや固いゼリー状のもの(透明なゲル)で99%が水です。 硝子体は水晶体の後ろに接し,眼球の奥では,一部で網膜とくっついていますが,ほとんどは軽く網膜と接しているだけです。 役割としては,眼球の形を保つと同時に,入ってくる光を屈折させます。 |
網膜とはカメラでいえばフィルムにあたりますが,10層からできているとてもうすい膜で,厚さは中央部で0.3mm〜0.4mm,周辺では0.15mmです。 視細胞には,桿体と錐体とよばれる二種類の細胞があり,桿体はうす明かりを感じ視力はよくなく,錐体は明るいところではよく感じ,色を見わけ,視力のよい細胞です。 光は視細胞にとどくと電気信号に変えられ,神経線維層を通って神経にいき,この信号が大脳の中枢にいってはじめてものが見えるのです。 また,網膜の後ろの中心には黄斑部があり、その中心に中心窩があります。ここには錐体のみがあり,視力のもっともよいところです。 中心窩から4〜5mm内側に,視神経が眼球壁をつらぬく視神経乳頭があり,これが盲点にあたります。 |
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視神経が脳へ行くところは、光りを感じる細胞がないので、盲点などといわれている 左目を手でおおい、右目で上の絵のイヌを見つめながら、目をはなしたり近づけたりします。イヌの絵から約20cmのところで、カエルが見えなくなるはずです。 |
人間はだれでも,見ようとする点より耳側に視野の欠けている部分があります。これを盲点(マリオット盲点)といいます。もちろん左目,右目ともにあります。その位置は注視点の耳側約15゜のところに,幅約5゜のややたて長の楕円形として存在します。これは眼底の視神経乳頭にあたる部分です。ここには網膜がなく,視細胞がないので,光があたっても感じないわけです。マリオットとはフランスの物理学者の名前からとったものです。
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網膜は眼底鏡(直像鏡,倒像鏡)という器械で見ると簡単に観察できます。しかし,網膜そのものは透明であるため,見えるのは網膜色素上皮と脈絡膜の色素に含まれるメラニン色素,および,脈絡膜血管の血液の色が重なり合って赤かっ色に見えます。白色人種では,メラニン色素が非常に少ないので,脈絡膜がよく見えてあわい紅色でかがやいて見えます。 |
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たとえば,明るいところから急に暗いところへ入ると,はじめは何も見えないのにしばらくすると,だんだんと見えてきます。このように暗い中で目がなれてくるのを暗順応,その逆を明順応といいます。これは,網膜にある視細胞の桿体,錐体の働きによって決まります (1)暗順応 一 暗いところでは桿体が中心になって働きます。この桿体は、黄斑部から離れるにしたがって、網膜のまわりに多くなり、視角の20〜30°にあたる部分に最も多くあります。また、視力にはあまり関与しません。桿体細胞には,ロドプシンとよばれる物質がふくまれ,光があたるとビタミンAに変わります。暗いところではこれと逆のことが起こります。そのため,ビタミンAが不足すると,暗いところで見えなくなる夜盲症(とり目)になるのです。 (2)明順応 一 明るいところでは錐体が中心になって働きます。この錐体は,網膜の中心部に多く,視力にすぐれています。明順応は暗順応にくらべてはるかに短時間ですみます。暗順応は30分〜1時間かかるのに対して,明順応は40秒〜1分です。 |
視神経は眼球の奥にある中心窩から4〜5mm内側にある眼球壁をつらぬく視神経乳頭を中心として出ています。視神経乳頭の直径は1.5mm,神経は,眼球内では0.7mm,眼窩内では3.0mm,視神経内で6mm,頭蓋内で15mmの太さがあります。長さは,全長35〜50mmで視交叉までの部分を視神経といいます。そして,この視神経はおよそ100万本の神経線維からできており,そのうち80%は視覚に関係し,残りの20%は瞳孔などの運動に関係しているといわれています。 |
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まぶたは眼球を外傷から守り,日の乾燥や寒さから守る働きをしています。一重まぶたは,まぶたの下の脂肪が多いため,厚くてふっくらとしています。日本人のようなモンゴロイド系の黄色人種に共通する人種的な特徴です。二重まぶたは,一重と逆にまぶたの下の脂肪が少ないため,まぶたにたるみができて二重になっているものです。ヨーロッパ系の人種の特徴です。しかし,一重の人でも,やせたり年をとってまぶたの下の脂肪が少なくなってくると二重まぶたになってしまいます。まぶたの本当の役目からいうと,二重より一重の方がよいわけですし,両親から与えられたこの世でたった二つのまぶたですから,大切にして,美容の目的だけで二重まぶたの手術をしたりすることはできるだけやめましょう。 |
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まぶたの間(瞼裂)の大きさは,人種や個人差によって狭い場合や広い場合があります。特に,日本人はあまり広い方ではありません。しかし,幼児の瞼裂の横幅は,高さに対して短いため,全体的にまるくみえます。そのため,目がバッチリして見えるのです。 |
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まばたきには次のような役目があります。 (1)涙が角膜を等しくうるおし,清浄にして角膜を守っています。 (2)目の運動と同時にまばたきが起こり,目の運動の間に起こる“像のボケ”を感じさせないようにしています。 (3)限圧が上昇するのを防ぐために,まばたきによって房水の流れをよくします。 (4)涙を結膜のうから涙の道(涙道)へうまく流し出す働きをしています。 |
(2)像のボケを感じさせない (3)房水の流れをよくする (4)涙を流し出す
3〜13回/分 8〜18回/分 20(15)回/分 周期的まばたき |
まばたきには次の三つの種類があります。 (1)周期的まばたき − 自然に起こるまばたき 生後数カ月の赤ちゃんにはまばたきはなく,幼児では1分間に3〜13回,小児では8〜18回,おとな男子では約20回,女子では約15回くらいで,年齢とともに多くなります。 周期的まばたきは,目をつむるときはゆっくりと,開くときはより早くなります。 おとなが目をさましている一日の約10%はまばたきをして目をつむっていることになります。まばたきの回数が多い人は新幹線や飛行機のパイロットになるのはむずかしいようなので,ある程度は意識して少なくするようトレーニングしておくとよいと思います。トレーニングにより最高20秒くらいまでなら目をパッチリと開いたままにできます。 (2)反射性まばたき − 目に対する一種の防御反応でまぶたや結膜,とくに角膜が刺激されると瞬間的にまばたきをします。これにより,目に異物が簡単に入るのを防ぎます。 そのほか、急に目の前に物があらわれたり,急に強い光が目に入ったときにも反射的にまばたきをします。 (3)随意的まばたき − 意識的なまばたき めくばせ(ウインク)するときのように,自分の意思でまばたきをする場合もあります。 |
反射性まばたき |
あくびやくしゃみをすると,表在性の顔面筋(顔の筋肉)が運動を起こします。この顔面筋とまぶたを閉じようとする眼輪筋の運動は,大脳皮質下の共同運動であるため,眼輪筋も運動を起こし,自然にまぶたが閉じるのです。 |