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まゆ毛の役目は,額の汗や水が眼に入らないようにし,目の横に流すようにします。まゆ毛のはえている部分には,脂を出す皮脂肪線がたくさんありよく水をはじき,また,汗を出す汗腺がはとんどないので,汗が目に入らないしくみになっています。まゆ毛は大体,左右合わせて1,300本,長さは7mm〜10mmといわれています。 |
涙の役目はいろいろあります。 (1)目に入ったゴミを洗い流す。 (2)角膜に栄養や酸素をはこぶ。 (3)日の表面の細菌を殺す(塩分を含んだ殺菌性の液)。 (4)角膜の光学的な性質をより発揮できるように高める。 これらの大切な役目をしている涙がもし出なくなってしまうと,角膜が乾燥してやがて混濁し視力障害を起こしてきます。「涙もろくて困ってしまう」より「涙が出なくて困ってしまう」のほうがはるかに困ってしまうのです。 |
1.ゴミを洗い流す 2.栄養や酸素を運ぶ 3.殺菌する 4.光学的な役割を増やさせる
涙は人間の排出するもののなかで一番きれいなものです。成分は98.0%が水で,そのはか,約1.5%のナトリウム・カリウム・アルブミン・グロブリンなどのほか,0.5%のたん白質がふくまれています。涙が塩辛く感じるのはナトリウムが含まれているからです。なお,涙のPHは7.5〜8の弱アルカリ性です。 |
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涙は,上まぶたの内側に,それぞれ一つずつある涙腺(アーモンド大〔20×15×5mm〕,ひょうたん型)から3〜6本の排出管を通って出てきます。排出管を通って出てきた涙は,眼の表面,とくに球結膜(しろ目),角膜(くろ目)をうるおしながら,まばたきの作用によって目がしらにある上下の小さい穴(涙点)から細い涙の管(涙小菅)を通り目尻の上の鼻の横にある涙のふくろ(涙のう,大豆くらいの大きさ,上下8〜11mm,左右4〜6mm,前後7〜8mm)を通って鼻への通路(鼻涙管)へ,そして鼻の中(鼻腔)へと流れていきます。これを涙の道(涙道)といいます。そのほか,副涙腺というところからも涙は出ます。これは,主として脂肪にとんだ涙で,この涙によって涙腺から出る涙の蒸発をふせいだり,涙がまぶたの外へこぼれるのをぶせいでいます。 |
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起きているときには涙はいつも分泌されています。そして,知らず知らずのうちに鼻の万へ流れていきます(寝ているときは,涙はほとんど出ません)。涙は一分間に約0.001〜0.002cc(1〜2μl)が出ています。一回のまばたきで約0.002cc(2μl)の涙が鼻の方へ流れていきます。一日の涙の量はおとなで0.6〜1cc,子どもで約1.35CCといわれています。一年間,涙をためたとしても,ジュース一本より少し多いくらいの220ccくらいしかたまりません。しかし,泣いたときはもっと多くなります。涙は鼻の方へ流すだけではおいつかなくなり,目からポロポロとあふれ出てしまうようになります。この一つぶの涙の量は約0.2ccといわれています。 |
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涙腺は,三叉神経,交感神経,副交感神経の三つの支配を受けています。うれしいとき,悲しいときは副交感神経が働き,薄い水っぽい涙が出ます。悔しいときや腹が立つときは交換神経が働き,塩からく、しょっぱい涙が出ます。 |
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煙が目に入ったとき涙を流したり,目が痛くなったりするのは,煙が目を刺激するためです。煙は,空気中に浮いている固体とガス体の集まりです。煙のつぶ(粒子)が,目にゴミが入るのと同じように目を刺激します(物理的刺激)。また,ガス体には亜硫酸ガス,硫化水素,アンモニアなどの有毒ガス体が含まれ,その刺激は物理的なものよりも激しく,目だけではなく鼻の粘膜や皮ふにも害をおよぼします(化学的刺激)。このように,角膜やまわりの組織を刺激することによって起こる流涙を反射性分泌といいます。 |
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あくびをすると顔の筋肉(顔面筋)が働いて,涙の袋(涙のう)をおさえつけます。そのため,涙のうにたまっていた涙が再び涙小菅より涙点に,そして結膜のうへと逆流していきます。つまり,涙が目からあふれてこぼれ落ちてしまうのです。何回もあくびをすると,涙のう内の涙はからっぼになってしまいます。そのために,何度もあくびをすると涙が出なくなります。くしゃみや嘔吐の場合も同じ理由で涙が出ます。 |
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普通泣いたときなどで,涙がこぼれるのは必ず目頭からあふれてほほを伝って流れていきます(図A)。しかし,目薬を3〜4滴さすと,目頭以外,特に(図B)のあたりからほほを伝って流れ落ちます。 (A) (B) |
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生まれた直後は,まだ脳の発達が十分でないため,精神的・情緒的な興奮がなく,そのため涙は出てきません。生後3ヵ月までの赤ちゃんは,目を守るための涙の分泌は絶えずありますが,角膜や結膜にある神経が十分発育していないために,まぶたや角膜に物が当たることによって起こる反射性の流涙もありません。 |
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外国人は泣くと鼻にハンカチをあてて,日本人は目にハンカチをあてて泣きます。西洋人は日本人に比べて鼻涙管が大きいため,多量に涙が鼻へ流れこむため鼻にハンカチをあて,日本人は鼻涙管が細いため,涙があふれ出るので目にハンカチをあてて泣くといわれています。 |
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眠るということは脳や体が休んでいる状態です。この眠りにつく前から,涙をつくる腺は涙の量を減らしています。そのため,眠くなると目がしらがショボショボしたりするのです。そこで,目をこすって眠気をまぎらわそうとすることになります。朝起きたときも同じ理由で目をこするのです。 |