斜視とは,両眼の視線が正しく見る目標に向かわないものをいいます。外見上は片方の目が正しい方向を向いているのに,他の目が内側や外側,あるいは上下に向いている異常です。 |
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斜視は眼球を動かす働きをする眼筋と重要な関係にあります。私たちが,普通物を見るとき,両眼の眼筋が微妙に調節して,見たいところに焦点を合わせるように眼球を動かしています。そのため,眼筋の神経支配の異常,眼筋そのものの異常,眼筋附着郡の異常などにより斜視が起こります。また,強い遠視や近視がある場合,片眼の視力不良の場合などに両眼の眼筋の微妙なバランスがくずれて斜視になることもあります。乳幼児期の異常は,しばしば正常な視機能の発達をそこなうことがあり,斜視の原因になることがあります。 |
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○原因による分け方 麻痺性斜視(眼筋麻痺による) ○目の位置による分け方 内斜視 ○斜視眼による分け方 交代斜視(斜視眠が左右どちらか一方と決まっていない) ○状態による分け方 恒常斜視(いつも斜視状態にある) |
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内斜視は斜視の中で最も多く,約70%を占めています。内斜視には,調節が強く関係しているものとそうでないものとがあり,治療や予防の上で大きく違ってきます。 (1)調節性内斜視 これは,調節(ピントを合わせること)をするときに過剰な眼球の内よせが起こり「より目」の状態になることで,遠視が原因になっていることがはとんどです。初期は間欠斜視,交代斜視ですが,放置しておくと,恒常斜視,片眼斜視になり,斜視眼が弱視になることがあります。1歳以後,普通2,3歳で発症します。早い時期に眼鏡装用をすることなどの適切な治療をする必要があります。 (2)非調節性内斜視 生後6ヵ月以内の早期に発見される恒常斜視です。主に手術による治療を行ないます。また,一眼の失明や高度の視力障害があるときにも起こることがあります。 |
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内斜視は比較的乳幼児に多くみられますが,外斜視は年齢にかかわらずよくみられます。遠くを見たり,ぼんやりしているときに現われる間欠斜視が多く,一眼が失明または高度の視力障害があるときには恒常性外斜視になることがあります。治療は,手術,眼鏡装用(プリズム),視能矯正など場合によって異なります。 |
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(1)コンタクトレンズを使う方法 (1)メガネを使う (2)眼帯・アイパッチを使う
(3)プリズム処方 両眼視機能訓練 |
斜視の治療は大きく分けると,手術による方法どそれ以外の方法とがあります。これらの方法は,斜視の種類,性質,年齢,全身状態などにより異なりますが,原則として,早期発見,早期治療が必要です。斜視は,単に眼の位置がずれているという外見上の問題ばかりでなく,両目を使って物を見る両眼視という目の働きに異常が起こってきます。この両眼視は生後1歳くらいでおよそはでき上がり,5,6歳で完成します。ですから,早期の治療が大切になってくるのです。6歳を過ぎてからの治療は,両眼視という機能の点では治りにくいといえるでしょう。治療の目的としては,(1)眼位ずれの矯正,(2)両眼視機能の正常化,(3)視力改善の三つになります。手術以外の治療法としては以下のようなものがあります。 (1)コンタクトレンズ,メガネを使う方法 コンタクトレンズやメガネを装用することで,斜視の原因となっている遠視や近視を矯正し,両眼で正常に見えるようにして両眼視をさせます。また,不必要な調節を取り除き,眼筋の動きをスムーズにします。目が大きく見えるくらいの凸レンズのメガネをかけた乳幼児に会った経験があると思いますが,この理由によるわけです。このような場合,ある年齢になるまでメガネは常にかけていなければなりません。 (2)遮閉法 眼帯,アイバッチ,磨りガラスなどを使い,不同視のある弱視,斜視に行なう方法です。斜視眼でない方の眼を遮閉し,斜視眼にその目の矯正度数のメガネ等を装用させ,物を見る力をつけさせます。 (3)プリズム処方 メガネにプリズムを入れて光を屈折させ,斜視眼を正常眼と同じ視標が見えるようにする方法。 (4)両眼視機能訓練 大型弱視鏡,カイロスコープなどを用いて両眼視機能を向上させます。 (5)注射法 引っぱりすぎている筋肉を麻痺させるため,筋肉にボツリヌス毒素を注射する新しい方法。 |
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斜視は眼球に付いている6種類の眼筋の微妙な関連がうまくいかないことによって起こるものですから,眼筋の位置を変えたり,短くしたりして眼球を正常な位置にもどします。 例 内斜視 眼球の内側に付いている内直筋のカが強く,耳側に付いている外直筋がのびてしまい眼球が内側に寄っている。 (1)外直筋を短く切る。(2)内直筋の付いている位置をずらす。 外斜視の手術は内斜視とちょうど反対の手術方法となります。
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