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色というものに対する感覚をおおまかに分けてみると, ・物理的過程・・・・光が網膜まで届く過程 ・生理的過程・・・・その興奮を視中枢まで伝達する過程 ・心理的過程・・・・伝達されたものを脳の中で色と感じる過程 この中で,先天性色覚異常は生理的過程による異常がほとんどですので,矯正しようにも手のほどこしようがないのです。矯正ができる範囲というものは,最後の心理過程によるものだけで,小中学校時代をつうじて,機会あるごとに,「本当はこう見えるのですよ」というふうに,実際の色彩を示して教える努力をたゆまずすることが大切です。 |
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色覚異常の原因は,網膜にある錐体細胞に,正常な人と異なる条件が存在し,その条件によって生じる色の区別の異常を感覚として感じているわけです。そのため,治療としては,この色覚を形成する過程に作用するような治療法でなければなりませんが,今のところ治療法としては,はっきりと“ない”といえます。ところで,色メガネを使うと,先天性色覚異常者でも,健常者のように石原式色覚異常検査表の文字の存在を認めることができます。しかし,これは二つの色相を区別しているのでなく,文字と地との間に,かなりの明るさの差を生じるためです。つまり,区別はできるけれども,健常者の見え方とは異なります。 問題としては,色メガネをかけていないときに区別できた他の色が逆に区別できなくなってしまうことがあります。また,片眼だけ色メガネ装用ということも考えられますが,このときは両眼視した場合の問題が残ります。 |
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色覚があるかどうかを動物に対して調べるのは,人間に対してするように簡単にはできません。言葉が通じないのですから,その知能に応じた調べ方をいろいろ工夫しなければなりません。いろいろな研究から,サルは人間と同じような色覚をもっていることがわかっています。また,ミツバチや金魚やハトも3色性の色覚をもっていると考えられています。多くの動物について,研究や実験が行なわれていますが,ほとんどは,確定的なものがなく,推測の域を出ないようです。 |
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色が遠くから見えるか見えないかは色の波長(スペクトル)の長さによって決まります。波長の長いものはど遠くから色がよく見えます。 ・赤 ・・・・630〜700mn ・だいだい ・・・・600〜630mn ・黄 ・・・・570〜600mn ・緑 ・・・・500〜570mn で波長が長くなっています。そのため,信号機で波長の長い色を用いることで遠くからでも信号がよく目につくように決められています。 また,色彩としては,鳥居にはよく赤が塗ってありますが,これは魔よけのためであり,また赤は注意をよびおこす色であり,視神経を刺激する色でもあります。緑は平和ややすらぎを感じさせますから安全を知らせるのに適しています。 |
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色盲という言葉は現在でははとんど使われません。色覚異常というようによんでいます。それは,色が見えないのではないからです。世間ではいまだにこのようなような錯覚をしている人が多いようです。色覚異常があっても,社会生活を送る上で困難なことはそれはどありません。背が高い人もいれば低い人もいるわけで,色覚も鋭い人もいれば鈍い人もいて当然です。そのことでコンプレックスを持つことはまったくありません。職業選択のときなどに,それが障害になるようなことがあれば,くわしく,どの程度の色覚異常なのかを調べてもらい判断すればよいでしょう。 |
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色視症とは,一言でいえば健康な人には見えない色が見えたり,見えるように思えることです。非常にまれな病気で,かなり心理的な要因に基づくものと考えられています。 (1)原因として ヒステリーや神経衰弱,薬物やアルコールの中毒,水晶体摘出後の短日時,中心性網脈絡膜炎などの眼疾患のときに色視症を訴えることがあります。 (2)種類として
原因を除去することで,色視症も消失しますが,いまだにその発生機序は明らかではありません。 |