日本では約1600万人がコンタクトレンズを使っているといわれています(平成17年度)。また約6000〜6500万人がメガネを使用(常用あるいは老眼鏡などを必要時に使用)しているとされています。 |
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(1)コンタクトレンズの利点 1)目とともに動くため,プリズム作用・収差がない。 2)他人に装用していることがわからない。 3)度が強くても,メガネのように大きさが実物と違って見えることがない。 4)乱視が強くてもメガネより視力がでやすいことが多い。 5)メガネの視野は約120度(フレームがじゃまをするため),コンタクトレンズの視野は杓200度もある。 6)気温,湿度の変化にも,レンズがくもりにくい。 (2)コンタクトレンズの欠点 1)ごみが入ると痛い。 2)面倒である。 3)長時間使用できない。 4)定期検査を受けなければならない。 いずれにしても,コンタクトレンズは,一日中使用できるわけではなく,朝や夜間などのコンタクトレンズの装脱着前後はメガネを使うことになりますし,旅行やドライブには,紛失やケガのため,必ずメガネを持っていった方がよいでしょう。また,どうしても,コンタクトレンズに慣れることのできない人もいます。 |
レンズに慣れやすい
装用しているのが人からわかりにくい |
消毒などの管理がしやすい レンズを左右間違ったとき計測しやすい |
・.装用しはじめて1〜2週間たってもコロコロした異物感が消えないときには,もう一度医師の診断を受けることです。 使いはじめのころは,特に次の図のような目の症状がありますが,これは,コンタクトレンズが目に慣れるまでの生理的な反応で,1〜2週間ほどでほとんど消えてしまいます。コロコロした異物感がある場合は次の三つに大別されます。 (1)瞬目時(まばたきしたとき)によく起きる。 原因・・・レンズに不慣れなため,涙が多く出るため。 (2)使いはじめからコロコロする。 原因・・・レンズがあっていない。上まぶたの影響などによることがあるので,もう一度検査を受けること。 (3)最初は調子よかったが,数日後コロコロするようになった。 原因・・・レンズの白濁,異物の付着,レンズの変形,レンズの裏返し,左右レンズの入れちがい,角膜障害を起こしている等があるので,医師の検査を受けること。 |
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(まばたき不足) |
(まばたき不足) |
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コンタクトレンズは,装用しないときは,保存液の中につけておきます。 (1)ハードレンズのとき 酸素透過性レンズの場合,保存液に入れずに保存すると,レンズが乾燥し,汚れがレンズに固着しますから,各メーカーによる保存液を使用すべきです。 (2)ソフトレンズのとき ソフトレンズは親水性があり,涙の成分とよく似た溶液(0.85%食塩水)の中に入れておかないと,材質に変化が起こり,使えなくなってしまいます。そのためそれぞれのメーカーにあった保存液に入れておかなければなりません。 |
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Q.外出中に目が痛くなる,ケースもないときはどうすればよいのですか ![]() |
外出中に目が痛くなったときは,きれいなところで,もう一度よく洗って入れなおしてください。それでも痛いときはレンズをはずし、医師の検査を受けてください。 ケースがなければ,ハードレンズのときは,やわらかいもの(チリ紙,ハンカチ等)にくるんでつぶれないようにします。ソフトレンズのときは,生理食塩水もしくは専用の保存液につけておくことが必要です。水道水での保存は「カビ」や「細菌」が繁殖してしまうので、やめてください。 |
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涙の中のたん白質やその他汚れた細胞がレンズにつき,「カビ」や「細菌」が繁殖してしまうからです。目に重大な疾患を引き起こすことがあるため、決められた消毒、洗浄方法を守ってください。 |
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Q.コンタクトレンズはどんなときに使用してはいけないのですか
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(1)目が充血したり痛くなったとき (2)眼球突出の強い人 (3)急性結膜炎や他の炎症性の疾患のとき (4)角膜変性症,他の角膜疾患のとき (5)涙液減少症をきたす疾患のとき (6)重症筋無力症のように眼球運動や眼瞼運動がない人 その他,レンズを使用することによるアレルギー症状などが起こったときは,レンズを交換したり治療を必要とすることがありますので,必ず診察を受け,もし眼科医が装用中止を指示した場合は必ず装用しないようにしてください。 どんな物でも大切にとりあつかうことが長持ちさせる基本となります。レンズは特に小さなものですので,ちょっとした不注意で紛失したりこわれたりします。 次のことに注意しましょう。 (1)レンズに「キズ」をつけないこと ・レンズに「ツメ」をたてない ・レンズを布類でふかない ・レンズを床に落としたときは,その場を動かないで体についていないか確認して,その次に足元からさがし,見つかれば指先をぬらしてレンズにそっとくっつけて真上に拾い上げる。 (2)化粧品や薬品やガムなどをつけないこと 化粧はレンズをはめてからすること (3)レンズを強く押さない (4)温度の高いところにおかない (5)保存ケースの端にひっかけない (6)レンズを洗うときは,必ず「ザル」に受けるか,排水口にフタをする (7)レンズを乾燥させない (8)家庭用洗剤やアルコール類などで洗わない (9)電車,車の窓から顔を出さない(横から風が強く当たると,風圧,ゴミなどで刺激が強くなり,レンズがはずれることがある) |
ツメをたてない ねじらない ま横にひっぱらない 無理におりたたまない
ソフトレンズ取り扱い上の注意
コンタクトレンズをはずした後すぐにメガネをかけると物がボケたりかすんで見えます。これをスペクタクルブラー現象といい,一時的に角膜浮腫が起こるために,角膜のなめらかさ,厚さ,角膜の曲率半径の変化により,屈折状態が一時的に変化することをいいます。これは,ハードレンズの装用時間が長すぎるために起こるものです。装用時間を短くしましょう。レンズ装用中に,ボケたりダブったりするときの原因としでは次の図のようになります。 |
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![]() ボケる |
遠くが見にくい |
矯正不足。 眼屈折の変化。 |
屈折検査を行う。 |
レンズの表面の汚れまたは乾燥。 |
瞬目を多くする。 |
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近くが見えにくい |
過矯正。 |
屈折検査を行う。 |
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異物の付着。 |
レンズの洗浄。 |
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Tight装着。 |
B.C.の検討。 |
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最初はよく見えるが数日後ボケる |
レンズの表面に分泌物付着し表面が乾燥。 |
レンズの洗浄を再指導する。 |
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Tight装着。(flat装着) |
B.C.検討。 |
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長時間使用し、夕方になるとボケる |
涙液が少なくない。 |
瞬目を多くし、それでもなお変わらない場合は、再度洗浄して装用する。 |
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![]() ダブる |
最初はよく見えるが数日後ダブりがでる |
残余乱視。 |
屈折検査の確認。 |
レンズ表面の汚れ、乾燥。 |
瞬目を多くする。またはハイドロケアの使用。 |
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遠くはよく見えるが、近くがダブる |
Flat装用。 |
B.C.検討。 |
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近くを見るとき、悪い姿勢で物事を見る。 |
正しい姿勢で見るように指導する。 |
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瞬目が少なくない。 |
瞬目を多くする。 |
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遠点も近点もダブる |
Flat装用。(Tight装用) |
B.C.検討。 |
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残余乱視。 |
屈折検査。 |
Q.コンタクトレンズの装用中,まばたきをすると見えにくくなるのですがなぜですか |
コンタクトレンズの使いはじめのころは,まばたきが不足したり,涙の分泌が少し多くなったりして, (1)少し目つきが悪くなる (2)結膜に多少の充血や腫張が起こる (3)めやにが少し多くなる (4)熱っぼい感じがする (5)少しまぶしく感じる (6)上を向くのがつらく異和感がある (7)夜間,自動車のヘッドライト,ネオンなどがきらめいて見える (8)像がダブって見える (9)少しボヤけたり,くもったりする (10)圧迫感がある 等のいろいろな症状がでます。 このため,「見えにくい」と感じることも多いようですが,コンタクトレンズに慣れれば,自然に解消されますから1〜3週間はそのままようすをみましょう。ただ,まぶたの圧が強かったり,アレルギー性の結膜炎があると,レンズがうまく角膜の上にのらないで,ぼやけたり,ずれたり,見えにくいことがあります。また,コンタクトレンズのサイズが小さいときやレンズが乾燥気味のときも起こりますから,よく洗浄し,眼科医のチェックを受けてください。 |
Q.コンタクトレンズの左右がわからなくなりました,どうすればわかりますか ![]() |
ハードレンズの場合は三つの方法があります。 (1)レンズの種類によっては、明るいところでよく見ると,端に数字が書いてあるものがあります。 この数字は使用しているレンズのカーブが記入されていますので,自分の保証カードの左右のベース・カーブの数字と同じように装用すればいいわけです。ただし,レンズに数字が書かれていない場合,保証カードに何も記載のない場合,左右ベース・カーブが同じの場合はわからないので(2)の方法をためします。 (2)左右の視力と屈折度が異なる場合 (左右の視力と屈折度が同じ場合は(3)をためします)。まず両眼にレンズを入れます。片方ずつ見え方を確かめて,左右の視力の差がないようであればそれで合っていると思われます。 (3)左右の視力と屈折度が同じ場合 とりあえずレンズを眼に入れてください。異物感があるときや痛みがある,ダブる,よくずれるなどの症状があるときは,すぐに左右を入れかえてください。そして,自覚症状が全くなく快適であれば少し様子をみてよいと思います。いずれにしても,間違って入れたままにしておくのは角膜に傷をつけることにもなりますから,できるだけ早めに処方してもらった医師に再検査を受けた方がよいでしょう。次にソフトレンズの場合は調べるのが困難ですから,やはり医師の検査を受けるようにしましょう。 |
(1)レンズ紛失原因の50%は洗浄中といわれています。レンズを洗うときは,必ず「ザル」で受けるようにするか,排水口に蓋をして洗ってください。また,ボール,洗面器に水か生理食塩水(0.85%の食塩水)を入れてその中で洗う方がよいでしょう。 (2)朝や寝る前にあわただしくレンズのとりはずしをしがちですが,できるだけ時間のゆとりをもって,テーブルに置いて,落ちついて,ゆっくり行ないましょう。 (3)入浴,洗顔,プールに入るときなどは必ずはずしましょう。またレンズをはずしたらすぐに保存ケースに入れましょう。 (4)横風やゴミ等の刺激で,はずれやすいので,バス,電車の窓などから顔を出さないことです。 (5)空気が乾燥していたり,目を強くこすったり,ものがあたったときなどもはずれやすいので気をつけましょう。 |
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レンズに慣れてくると,口にほおばってツバをつけて装用する人がいます。こんなときにあやまって飲み込むことが多いようですが,体の中につまったり病気になるということはありません。また,材質的にも無害ですのでだいじょうぶです。念のため,咽頭(喉の奥)にくっついたり入り込んでいないかどうか耳鼻科で診てもらいましょう。 |
それぞれのメーカーの保存液に3〜4時間ほどつけておき,十分にもとのやわらかさにもどします。保存液がなければ生理食塩水(0.85%の食塩水)でもかまいません。ただ,熱湯につけたりしてはいけません。 装用してみて眼の痛みや視力の変化がないかどうかを確かめてください。なお,念のため限科医の検診を受けてください。 |
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ハードレンズはアクリル系樹脂でできていますから傷がつきやすいものです。できるだけていねいに扱わないとレンズの表面に傷をつけることになります。表面のうすい傷のときは,再研磨によりきれいになる場合もありますが,深い傷をつけてしまうと,研磨でも傷はとれなくなってしまいます。また、最近の高酸素透過性レンズでは研磨することができないものも多くなっています。傷がつくと視力が十分でなくなったり,カビや脂肪分が付着しやすく,洗ってもすぐにレンズがくもったり,細菌感染のもとになります。検診を受けて必要であれば、新しいものに取り換えることが必要です。 特にソフトレンズの場合は,傷のついたレンズをそのまま装用していると,その傷が細菌の繁殖の巣ともなって目に害を与えないとはかぎりませんので、絶対に使用しないでください。 |
Q.コンタクトレンズを冷蔵庫で凍らせてしまいました,どうすればよいでしょうか ![]() |
ぬるま湯の生理食塩水(0.85%)や専用保存液の中に入れてゆっくりとかしてください。もとのやわらかさにもどったら,眼の中に入れて刺激のないことを確かめてください。ハードコンタクトレンズは,凍っているときに特に傷をつけないようにしてください。 ソフトコンタクトレンズは,湿度変化に強い材質のため,ヒビが入ったり破れたりはしませんが,お湯を急にかけることはよくありません。自然にとかして常温にしてから使用してください。 |
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熱いお湯につけたり,高い熱を与えるとレンズが変形することがありますのでお湯で洗うのはやめましょう。また,夏,車の中など温度が高くなる場所にもおきっぱなしにしないように注意しましょう。しかし,酸素透過性ハードレンズの場合は,温度が低くなると逆にレンズの強度が多少低下するので,冬はぬるま湯で洗うのがよいでしょう。 |
ほとんどの場合使用できなくなってしまいます。処方を受けた眼科医に相談してみて,保証などについてよく聞いてみましょう。 |
レンズに付着するよごれの主な原因は次のことが考えられます。 (1)目の分泌物(たん白質,カルシウム,脂肪など) (2)手のよごれ(脂肪分,化粧品,細菌など) (3)保存液や付属品の汚れ(細菌,カビなどによる汚染) (4)その他,着色するものにレンズが触れたとき まず,たん白除去剤を数回使ってみましょう。それでもとれないときは,白くにごった部位と程度によりますから,医師と相談してください。 |
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ハードレンズ以外は,原則として,レンズの上から目薬をさすことはよくありません。ソフトレンズや酸素透過性レンズの場合は,材質の点からいって,目薬がレンズ内にしみ込むためです。特に目薬に色がついている場合は,レンズ自体が変色することもあります。この場合はよく洗って,煮沸消毒をしてから使用することです。ただし,治療のために,あえてソフトレンズの上から点眼することもありますから医師の指示に従ってください。 |
Q.コンタクトレンズが目の裏側にまわってしまうことはありませんか ![]() |
まぶたの裏側は袋状になっているので,普通はそのようなことはありません。ただ,まれに,紛失したと思っていたレンズが,袋状の奥にくっついたまま結膜下組織の中に入り込んで腫瘍と間違った例があります。 コンタクトレンズがなくなったときは,まず上下のまぶたの奥に入り込んでいないか目を動かしてよくさがし,また衣服や周囲も念入りに調べ,それでも見つからないときには,念のため眼科医に調べてもらいましょう。 |
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自分でコンタクトレンズを使っている人は,他人のレンズのはずし方もわかるでしょうが,子どものコンタクトレンズをはずしてあげなければならないときのために,はずし方を説明しておきます。 ・ハードレンズの場合 図のように両手の人指し指を上下まぶたにおき,まぶたの先端でレンズをはさみ出すようにしてはずします。このとき,指や爪が目に直接ふれないよう注意してください。 ・ソフトレンズの場合 左の人指し指で下まぶたを引き下げ,右の人指し指と親指でレンズをつまんで出します。つまみにくいときは,一度レンズを下にずらしてからつまむとよいでしょう。このときも指や爪が直接目にふれないよう注意してください。 |
ソフトレンズの場合
Q.眼科検診のとき,コンタクトレンズをはずさせた方がよいでしょうか ![]() |
学校医によってはレンズをはずさせて外眼部の疾患を検診するように指導する場合もあると思います。私は原則として装着したまま検診しています。その理由は,検診直前までレンズを装用し,検診時にはずすと,レンズの刺激症状としてしばしば角膜輪部の充血があるため,急性結膜炎,流行性角結膜炎,虹彩炎の初期,輪部フリクテンなどの疾病と区別しにくくなるためです。また,コンタクトレンズによる特有のアレルギー性結膜炎もあるため,そのチェックを行なう必要があります。そして何よりも,レンズのフィツティングの状態をすこしでも観察し,使用上の注意やコンタクト・レンズの定期検診を受けるように助言することもできます。やはり,検診前に校医とも相談をして,十分な話し合いのうえ装着したままか否かを決定すべきであると思います。 |
Q.コンタクトレンズ使用中,ものが目に当たりました。大丈夫ですか ![]() |
目に対する影響は,外傷の程度やあたったものの種類によつて変わってきます。一般的には,コンタクトレンズを装用しているときは,裸眼よりは安全であるといわれています。しかし,メガネを装用している者に比べると,やはり直接限に外力が加わるので外傷の程度は少し強いと考えられます。目に物があたったために角膜を傷つけたり,前房出血を起こす例もありますが,レンズが直接眼球の中に入り込んだような例はまずないといってもよいでしょう。次に,目に物があたったときの注意を述べてみます。あたった瞬間目を強く閉じたり,目をこすったりすると,かえって目に傷をつけることがあるので,あたったときは,軽くまぶたを閉じ,しばらくしてから目をゆっくりあけてください。レンズが角膜の上にのっていれば,静かに,ゆっくりととり出します。このとき,強い痛みがあればすぐに専門医に受診する必要があります。レンズがズレている場合や,どこかに飛んでいってしまっている場合は,まず眼の状態を観察し応急処置をすることです。痛みもなく,ぼやけたり,視力障害が全くないような外傷についてはあまり心配する必要はありませんが,やはり眼科医でくわしく検査を受けるべきでしょう。 |
角膜に強い混濁があり,白くなっている場合(角膜白斑)や何らかの病気によって眼球が非常に小さくなってしまっている場合(眼球萎縮,眼球ロウ)など,残念ながら失明状態にあって外見上健眼と比べて,はっきりとその差がわかる場合に,義眼コンタクトレンズを使用することがあります。これには,ハードレンズとソフトレンズの二種類ありますが,両方とも虹彩つきコンタクトレンズとなっています。 |
コンタクトレンズについては日本眼科医会のコンタクトレンズ関連情報もご覧ください。