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角膜にイガが刺さっても角膜をつき抜けることはまずありません。決して目をこすったり,強くおさえないでください。それだけイガが角膜の奥に入りこむ危険性があります。イガの先が非常に小さいため,また,コシが弱いため,顕微鏡でピンセットを使ってとり出しても,途中で深いところで残ることもあります。イガの先は汚ない場合が多く,十分な治療が必要です。
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Q.ハチに目を刺されました。(毛虫の毛が入りました)どうすればよいですか ![]() |
・角膜を刺された場合・・・傷がつくだけではなく,毒が目に入って角膜の濁りを起こしたり,汚染される場合が多いので,他の異物に比べると感染の危険は大きいといえます。 ・まぶたを刺された場合・・・湿布をするのもよい方法です。しかし,アンモニア等は絶対にかけてはいけません。 ・毛虫の毛が入った場合・・・目の中で強い炎症(虹彩毛様体炎)を起こし重篤な病気にもなる場合があるので気をつけてください。 |
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=医学知識= 鈍的な打撲により,瞳が小さくなったり,大きくなったりすることができず,瞳が大きく(外傷性散瞳)なったままの状態をいいます。 外傷を受けた瞬間,散瞳していても経過をおうに従ってもとにもどる場合もありますが,多くは前房出血を伴っているため,外傷直後は外傷性散瞳があるかどうかわからない場合が多いものです。後遺症としては,明るいところへ出ても瞳が小さくならないため,まぶしさや像のぼやけがでてきます。散瞳が大きければ大きいほどその症状は強くなります。そのため,まぶしさをとるために,虹彩付きのコンタクトレンズを装用する場合があります。とにかく,麻痺してしまった瞳を手術的に小さくしたり,点眼薬によって治すことは非常にむずかしいものです。この散瞳および虹彩根部の損傷によって外傷性の続発性緑内障を起こしてくる場合もあります。また,瞳が小さくなる(外傷性縮瞳)場合もあります。 |
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チェックポイント ・鈍的外傷が強かったときによく起き,急激な視力低下が起こります。 ・前房の下%の瞳と角膜の間に真赤な血が満ちています。 ・外傷直後では,血液が前房内に浮遊し,しばらくすると下の方に濁ってくるような形が多く見られます。 ・出血が非常に強いと,前房内に出血が満ち満ちている場合があります(このような場合,それより奥の状藤を検査するのは非常に困難)。 ・ほとんどが一週間はどで前房出血は消失します。出血後2〜3日は安静にし,体操・入浴を禁止し,刺激物を摂取しないようにさせてください。
=医学知識= 前房出血とは,目に物が当たって,虹彩の根元(根部)が切れ,その部位から出血して前房内に血液が流出していることをいいます。原因としては,目をなぐられた,ぶつかった,当たったなどにより起こることが多いのです。前房出血では,血液が消失する一週間ほどの間に再出血をさせないことが重要で,その間は安静にさせます。無理な運動をすると再出血する場合があります。再出血をするとなかなか血液が吸収されず,視力障害,あるいは他の病気を併発してくることがあります。そのため,眼科では,止血剤や出血を早く吸収させるための内服や注射療法を必要とします。出血が吸収され,眼底が見えるようになると,ときとして眼底の方にも合併症を起こしている場合もあり,このときも視力障害を起こしたりしているので,目の奥の治療をさらに行ないます。 |
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チェックポイント ・虹彩の軽度な出血の場合が多い。 ・虹彩の色素が脱落して前房内に浮いている場合がある。 =医学知識= 外傷性虹彩炎とは,物が当たったために虹彩に軽度の炎症を起こす場合をいいます。 まず,2〜3日の安静を必要とし,視力障害が軽度で強い出血を伴っていなければ2週間ほどで完全に消失しますが,経過中に前房出血を起こさないようにすることが大切です。 |
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=医学知識= 虹彩離断とは虹彩の根元(根部)が切れたり,ちぎれたりした場合をいいます。ほとんど前房出血を伴っています。外傷直後前房出血がある場合は見えにくいものです。出血が吸収された後に,細隙灯顕微鏡検査や隅角鏡の検査によって調べることができます。外傷の程度が著しい場合は,虹彩がちぎれて瞳の中央にかかって視力障害を起こすこともあります。また,ときとして虹彩根部すべてがちぎれ飛んで無虹彩症となることがあります。安静が第一ですが,手術により切れた虹彩を再びもとへ縫いつける方法もあります。 |
![]() 水晶体が後ろにずれている 水晶体が前にずれている |
=医学知識= 外傷により水晶体を支えているチン氏帯がはずれ,水晶体が元の位置よりずれることがあります。これを水晶体亜脱臼といいます。このような状態になると,片方の目で見るときに物が二つに見えます。この場合,外傷性白内症に比べ視力はあまり低下しませんが,続発性緑内症をひき起こしてくることもあるので適当な手術を必要とします。一部のチン氏帯に異常がなければ,水晶体はそれにぶら下がっていますが,やがてチン氏帯すべてがはずれたり,外傷の程度が強いと前房内や硝子体中に全脱臼してしまう場合があります。このような場合は,手術をして水晶体を取り出す必要があり,手術をしなければ複視や続発性緑内障を起こしてきます。水晶体を全摘出すると,片睨の無水晶体症(P99)となり,必ずコンタクトを装用しなければなりません。 |
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チェックポイント ・視力障害 ・虹彩炎が見られる ・頭痛,眼痛,嘔気,嘔吐がでてくると重症 =医学知識= 異物が角膜を穿孔し,しかも水晶体に傷をつけると外傷性白内障を起こしてきます。 水晶体のうを破って異物が飛入すると破れた水晶体のうよりかなりの速さで混濁を起こし,視力障害も著明となります。眼圧上昇のため,頭痛,瞑痛,嘔気,嘔吐を起こし,角膜のまわりの結膜が充血してきます。この場合は,できるだけ早く穿孔した角膜を縫合し,水晶体の摘出手術を行なわなければなりません。水晶体を摘出したあとは,やはりコンタクトレンズを装用しなければ視力の改善はありません。角膜穿孔創が大きく瞳にかかっている場合は,さらに角膜移植手術他により視力の改善がある程度望めますが,視力障害はやはり著明となります。 |
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チェックポイント ・外傷を受けた直後から物が上下に二つ見える(複視)を訴える。 ・鼻出血(小児の場合は嘔気,嘔吐を必ず伴う)。 ・外傷を受けた限球の運動障害,特に上下方向の運動障害。 =医学知識= 鈍的な目の外傷により起こる代表的な骨折です。スポーツでの接触事故,サッカー等による大きなボールによる打撲,けんか等で起こります。眼球の下にある頬丘の骨(眼窩底)に骨折が起こり,目のまわりの脂肪組織が折れた骨と骨の間に入りこみます。外傷を受けた直後は必ずしも瞼がはれたり,眼球陥ぼつを認めるとは限りませんが,数日後には眼球が少しへこんでいるように見えます。また,目を下へ動かす下直筋が骨折した骨部にはまり込むと,眼球は上へ向いたままになり下に向けることができません。レントゲンにより確定盲診断を行ないますが,遅くとも1週間以内に,骨と骨の間に入り込んだ脂肪組織や筋肉をもとにもどすと同時に,折れたところにシリコン板をあてる手術をしなければなりません。 |
=医学知識= この場合次の二つに分かれます。 (1)視神経のまわりにある骨が神経を切断したとき。 この場合,24時間以内に手術をしても視力は不良で,強い視力障害か失明をきたします。 (2)視神経のまわりにある骨の断片が神経を圧迫しているときは,特にまゆ毛の外側の部分をかなり強く打ったときに起こります。 この場合,手術によって視神経管を圧迫している骨を除去します。神経の損傷程度によって視力障害の度合も違ってきますが,重度の障害を残す場合が多いようです。骨折はなく,視神経のまわりに出血したときには,視力はかなり低下しますが失明の危険はありません。 これらの場合,できるだけ早く眼科専門医による治療が必要です。放置して,3週間もすると眼底を直像鏡でのぞくと視神経は枯れて血色が悪くなり,黄色味がなくなり,白くなってきます。これを視神経萎縮といいます。 |
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=医学知識= 硝子体出血とは,網膜やブドウ膜の出血が硝子体中に流れ込んだときをいいます。硝子体中に出血した血液はなかなか吸収されず,後遺症として,光を感じる程度の著明な視力低下となることがあります。出血が多い場合,出血が完全に吸収されたが膜状の混濁が硝子体中に残ったときは,この膜を切除して視力の改善をさせる方法があります。出血が軽度の場合,出血した血液は徐々に吸収され,眼底が十分に見えるようになり,特に他の障害がなければ,視力は回復してきます。いずれにしても,2〜3日の絶対安静と止血剤,消炎剤を強力に投与し,厳重に経過を観察する必要があります。 |
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チェックポイント ・前駆症状・・・飛蚊症や光が見える,ゆがんで見える。 ・急に幕がおりたように感じ,物の見える範囲が一部欠けて見えなくなる(視野欠損)。 ・強度近視眼の外傷では発生率が高くなる。 =医学知識= 網膜剥離とは,網膜が眼底からはがれてくるものをいいます。厳密にいえば,網膜内層が色素上皮を脈絡膜に残して剥離している病気をいいます。剥離が中心に及んでくると,視力も障害され,光視症(光があたらないのにチラチラして光る感じがする)や変視症(物がゆがんで見える)を起こしてきます。外傷や打撲,たとえばボクシング,水泳の飛び込み選手等,眼球に力が加わることが多い強度の近視の人は特発性網膜剥離に気をつけねばなりません。目を強く押したり,こすったりしても,網膜剥離を起こすことがありますので,絶対してはいけません。 |
=医学知識= 眼球打撲によって,網膜の黄斑部に鮮明な楕円形をした赤色の境界が認められます。これを外傷性黄斑円孔といいます。自覚的には,視力障害と中心時点を生じます。眼底を見ると丸くて赤い非常に鮮明な円孔が見られます。外傷をうけた一週間前後にわかることもありますが,大体2〜3週間経過してわかる場合が多いようです。 |
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=医学知識= 打撲などにより眼底にショックが加わり,網膜の黄斑部にむくみ(浮腫)を起こす状態。つまり,皮ふに物が当たると出血しないで腫れることがありますが,それが目の底(眼底)の一部に起こってきたものです。眼の奥をのぞくと,黄斑部が乳白色に混濁して小出血を伴っていることもあります。数日から2〜3週間で治り,後遺障害は残らないといわれています。視力は一時的にダブって見えたり,ボヤけたりすることがありますが,2〜3日で治ります。眼の奥で起こるため,湿布も何もできないので,少し安静にしておいてください。なお,外傷の程度が強いときは,黄斑円孔や脈絡膜出血等が生じていることもあり,必ず経過観察が必要です。 |
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=医学知識= 銘的外傷を受けて網膜や脈絡膜に出血を起こすことをいいます。この場合,特に黄斑部のところに出血を起こすことが多くあります。黄斑部とは,物を見る最も大切な場所であり,この部位に出血を起こすと,出血が吸収されても黄斑部の視細胞は損傷されて,中心部だけが見えない中JL暗点と視力低下を後遺症として起こしてきます。治療法としては,安静と止血剤・消炎酵素剤を投与しますが,視力改善はむずかしく,手術もできません。黄斑部以外の出血の場合,程度が軽ければ比較的障害を残さずに治る場合もあります。 |
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=医学知識= 小さなボール(ゴルフボーール等)が非常に強い力で直接目にあたると,強膜が裂けて中の硝子体やブドウ膜が傷口から脱出します。眼球の内容のほとんどが脱出してしまったような場合は,ほとんど視力の改善は期待できず,場合によっては眼球をすべて摘出してしまわねばならないことがあります。 |
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=医学知識= 外傷の後遺症として一番困るのはこの外傷性緑内障といってもいいでしょう。外傷性緑内障とは,出血やはれが吸収され,外見上全く異常が認められない場合でも,房水の出口に障害を起こし,前房水の循環障害によって眼圧が高くなってくることをいいます。これを放置しておくと,視力障害や視野欠損を起こし,やがて失明する可能性があります。外傷直後は,はっきり診断をつけることはできませんが,1ヵ月後,眼圧が高ければ一応この病気を一疑ってみる必要があります。どんな外傷でも,他覚的・自覚抑症状が完全に消失しても,1〜2カ月後に1〜2度,外傷後半年間は眼圧および視野の検査をしておく必要があるでしょう。 |
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救急処置 ・やけどをした部位を水に十分につける(20〜30分)。 ・決してふいたり,こすったりはしない(水が顔から流れていてもふきとらない)。 =医学知識= 火傷が2度になると,まぶたが反転(外皮症)したり,兎眼症を起こすことがあるので,植皮手術・をする必要があります。なお,角膜の広範囲の火傷は非常にまれです。 |