ドライアイ・MGD治療
ドライアイの治療選択
涙がでるのにドライアイ? 脂が足りないドライアイ?
ドライアイは単に「目が乾く」というだけの病気ではありません。ドライアイは涙や眼の表面の状態の異常により「目がゴロゴロする」「目が痛い」「目がかすむ」「充血する」「重たい」などの症状を生じます。
涙の異常は大きく2つに分けられます。1つは涙そのものが少ない「量的な異常(涙液減少型ドライアイ)」、そしてもう1つは、涙の性質が変化し、悪くなってしまう「質的な異常(涙液蒸発亢進型ドライアイ)」です。ドライアイで角膜表面に潤いが足りなくなると、一過性に多量の涙がでてきますが角膜表面にとどまることなく排出されるため、「ドライアイで涙がでる」という症状になる場合もあります。
最近はドライアイ患者の多くにMGD(マイボーム腺機能不全)による「脂が足りないドライアイ」があることがわかり、ドライアイ治療にMGDへの対応が重要であること、ドライアイのタイプとして涙液層の安定性の低下(水濡れ性の低下)でおこる「BUT短縮型ドライアイ」と、結膜弛緩症や眼表面の炎症などが原因となって瞬目時の摩擦亢進でおこる「摩擦亢進型ドライアイ」が注目されています。
ドライアイのタイプにあわせた治療法の選択
当法人ではドライアイの原因やタイプを詳しく検査・分類することが可能な最新のドライアイ検査装置idra(アイドラ)をグループ各医院すべてに関西地区で初導入しました。NIBUT、インターフェロメトリー、涙液メニスカス、マイボグラフィーなど、ドライアイの評価に必要な検査が全てこれ一台で可能です。
- NIBUT(涙液の安定性の評価)
- インターフェロメトリー(涙液油層の評価)
- 涙液メニスカス計測(涙液量の評価)
- マイボグラフィー(マイボーム腺の状態評価)
- 瞬目解析(まばたきの状態評価)
- 眼瞼縁炎&睫毛ダニ観察(高倍率解析)
眼表面の層別治療
眼表面は油層、液層(水分・分泌型ムチン)、角膜上皮(膜型ムチン・杯細胞)で構成されていますが、ドライアイのタイプにより、どこの層をターゲットにして治療するかによって、点眼薬の種類やその他の治療方法を選択します。点眼薬とその他の治療を組み合わせることでの相乗効果も期待できます。
人工涙液点眼薬
涙液減少型のドライアイに涙の補充として人工涙液を点眼します。防腐剤が入っていない人工涙液は表面がただれている目に対して副作用の心配が少なく安全に使えます。
ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬
ヒアルロン酸ナトリウムによる水分保湿効果と角膜上皮細胞の修復作用を持っています。重篤な場合や防腐剤アレルギーをお持ちの方には防腐剤無しの使いきりタイプを処方します。
ムチン分泌促進(ジクアホソルナトリウム点眼薬、レバミピド点眼薬)
眼表面のスムーズな球面形成や浸潤化、涙液保持のために、粘液成分であるムチンの分泌を促進する点眼です。蒸発型のドライアイに対して有効とされています。ヒアルロン酸ナトリウム点眼薬や人工涙液との併用も可能です。ジクアホソルナトリウム点眼薬とレパミピド点眼薬の2種類があります。
ムチン&水分促進 | ムチン分泌促進 |
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ムチンと水の両方の分泌を促進し、涙の状態を改善することにより、角結膜上皮の障害を改善します。 | 点眼後に苦みを感じたり、しばらく視界が白っぽくなる場合があります。 |
ステロイド消炎剤点眼薬
眼表面の炎症を伴うタイプのドライアイにはステロイド剤等の点眼薬を使用します。他の点眼薬と組み合わせて使うこともあります。
自己血清
眼表面の障害が重篤な場合などに患者さまご自身の血液を採取して、そこから精製する自己血清を点眼していただく場合もあります。
MGD(マイボーム腺機能不全)治療
ドライアイの約86%にMGD(マイボーム腺機能不全)があることが報告されています。
まぶたの中にある「目の表面を覆う脂をだす腺」が詰まってしまい脂の少ないあるいは脂の質の悪いドライアイを引き起こします。MGD(マイボーム腺機能不全)を改善する手段として、患者さんがご自宅で毎日おこなうと効果が高まる「温罨法」と「眼瞼清拭(リッドハイジーン)」があります。また、医療機関でおこなう新しい治療方法として、IPL治療(自費診療)が登場しました。
温罨法
目の周囲を温めることで、マイボーム腺のつまりを緩和、まぶたの血流を改善する方法です。マイボーム腺からでる脂分は目の表面の乾燥を防ぐ作用があり、非常にドライアイに効果的です。温罨法は簡単に行えて、その効果が比較的実感されやすく、1日5分毎日2回おこなうと早期に効果を実感できます。
温罨法をより効果的におこなうために、温熱効果にすぐれたトルマリンを遠赤外線効果抜群のセラミックボールに配合した「トルマリンアイ温熱マスク」を当法人の新見浩司医師(医療法人社団医新会理事長)とLIME研究会有田玲子先生が監修&協力して製品化されました。電子レンジで温めて繰り返し使用可能で経済的です。Amazon、楽天等のインターネット通販でも買い求めていただくことができます。
トルマリン温熱アイマスク 1,078円(税込)
眼瞼清拭(リッドハイジーン)
睫毛の根元周辺をやさしくマッサージするように洗浄することで、マイボーム腺の脂の排出を促したり、汚れなどの詰まりを除去する効果があります。特にアイラインに化粧をする方は要注意です。
リッドハイジーンを目にも優しくより効果的におこなうための泡タイプ専用シャンプーを当法人の松本玲医師(レイクリニック院長)が監修し、「マイボシャンプー」として製品化されました。
上記サイトからインターネット通販での購入も可能です。
マイボシャンプー
50ml入り 定価1,650円(税込)マイボシャンプーTea Tree1.0
50ml入り 定価2,200円(税込)
アジスロマイシン点眼治療
2019年9月に発売開始となった1%アジスロマイシン点眼薬は抗菌薬としての作用だけでなく、強い抗炎症作用を併せ持ち、マイボーム腺の上皮細胞に作用して、マイボーム腺脂の分泌を促進することが知れています。
用法が特殊で「1日2回の点眼を2日間、その後1日1回を12日間」使用します。ただし1クール終えるとその後に再使用する場合は「最低でも3ヶ月期間をあける」必要があります。MGD(マイボーム腺機能不全)の治療に非常に効果があることが海外でも数多く報告されており、当グループ各施設でも処方をおこなっています。
IPL治療
マイボーム腺機能不全を改善する新たな治療法として、IPL(Intense Pulse Light)治療が登場し、海外の学会等でその効果が次々と報告され、注目を集めています。当グループではいち早く、関西で初めて「ルミナスM22 IPLシステム」によるIPL治療を導入しました。現在、レイクリニック、フタバ眼科、新見眼科の3施設にて、この施術をおこなっています。
「ルミナスM22 IPLシステム」は、FDA(アメリカ食品医薬品)においてマイボーム腺機能不全に関連するドライアイ治療として唯一、適応承認されている治療器です。さらに2023年6月23日、厚労省においてマイボーム腺機能不全(MGD) の治療に対する適応承認されました。
涙点プラグ(涙点閉鎖)
涙点プラグは涙液減少型のドライアイにおこなう治療法です。目頭の涙点に詰め物をすることで、涙が鼻に抜ける通り道を塞ぎ、涙の貯留量を増やし目の潤いを保たせる治療です。素材には溶けない素材としてシリコン製、溶解していく素材としてコラーゲン製があります。
涙点プラグの利点は涙点縫合や涙点凝固と違って外来処置にて簡単に行えること、不具合があっても抜去が可能で可逆的であることです。欠点は素材に対するアレルギー反応、涙道内迷入による感染、違和感、脱落です。2008年4月に新たに国内発売された可溶性コラーゲン製のものは、これらの欠点が少ない画期的な涙点プラグです。
- 涙点プラグ治療(健康保険適用)
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涙の出口『涙点』に栓をして眼の表面に涙を留める治療。
※涙の流れの模式図【シリコンプラグ】
涙点のサイズに合った直系0.5~1.0mmくらいのシリコン製のプラグを挿入して涙点をふざぎます。可逆的治療で、抜去することも可能です。【コラーゲンプラグ】
体温の温度で繊維化する、低刺激のアテロコラーゲンを、涙点から涙小管に注入して栓をします。効果は2~3ヶ月持続し徐々に排出されます。
涙点プラグ(非可溶性素材)
点眼麻酔の後、涙点の大きさを測定してサイズにあったプラグを装着します。
涙点プラグ(可溶性素材)
4℃以下では溶解しているが37℃になるとコラーゲン線維が再繊維化し、溶液全体が白色のゲルとなるアテロコラーゲンを利用した国内初のコラーゲン製プラグです。非常に刺激が少ないため、異和感やアレルギー反応を生じにくく、ゲル化アテロコラーゲンが除々に分解されて最終的には自然に鼻腔に排出され、約2~3ヶ月間の効果が期待できます。
効果減弱の後には、何度でも繰り返しての再挿入可能です。当院では他院に先駆けて、いち早くこの新しい治療法を導入しました。
- 費用
保険診療 1割負担の方 |
涙点プラグ挿入術(片眼760円、両眼1520円) + 涙点プラグ代(1涙点につき393円) |
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通常は片眼につき1涙点のみ、重症の場合は片眼につき上下2涙点を閉鎖します。施術時間は数分以内で痛みもほとんどなく、施行直後から普通に生活できます。
結膜弛緩症
白目の部分(結膜)が老化などでたるんで弛緩した状態を結膜弛緩症と言います。
たるんだ結膜が涙点をふさいでしまい、「涙があふれる=涙目」 「涙が広がらない=目の乾き」 といった症状を引き起こします。たるみが摩擦されるため、ゴロゴロ感や痛み、目のかすみ、目の充血、ショボショボするといった目の不快感も生じやくなります。
こういった場合には「白目の部分(結膜)のたるみを切除や熱凝固」する結膜嚢形成術をおこなうと症状の改善が期待できます。
- 費用
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保険診療
1割負担の方結膜嚢形成術(片眼2250円)
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薬代※施術時間は5~10分程度です。